「…骸様」

「何でしょう、千種」

「…それは、…何ですか?」

「これですか」

「…紙切れにしては派手な色ですね…」

「これは短冊と言う物らしいです」

「…短冊」

「ええ、七夕の日に願いを書いて笹に飾るそうですよ」

「…七夕?」

「日本なら七日、今日ですね。愛し合い過ぎて引き離された織姫と彦星が年に一度だけ会う事を許された、ー―という説話があります。それが七夕だそうです」

「…一年に一度だけ」

「ええ。雨が降ると天の川に水が溢れて二人は会えない、とも言われています。くだらない空想事ですよ。馬鹿らしい説話です」

「……今日は雨」

「おや、それでは二人は会えないという事ですね、それは残念」

「……骸様、その話しはどこで」

「ああ、先程綱吉君に会いましてね。偶然、偶然会っただけですけどね」

「…骸様、偶然じゃないわ。待ち伏せしてたもの」

「……クフ、クローム。今日は夕食抜きですかね」

「…ごめんなさい、骸様」

「…軽い冗談ですよ、そんな顔しないで下さい。僕が悪人みたいじゃないですか」

「…はい、骸様。…千種、ボスに短冊と笹を分けてもらったの。ボス優しい…」

「…ボンゴレが」

「因みに七夕に降る雨を催涙雨と言って、織姫と彦星が流す涙だと伝えられているそうですよ」

「…それもボス?」

「クフフフ、残念ながら違います。彼にそんな知識はないですよ。人に好かれる才能は持っていますがね」

「…千種、これ」

「千種の分です。何か書いてみますか?」

「…骸様の躯を取り戻せますように」

「おや、それが千種の願い事ですか」

「…骸様の躯を早く取り戻したい」

「クフ。大丈夫ですよ、躯なんてすぐに取り戻せます。それに躯が無くても特に不自由な事はありませんし、この子供の姿も悪くありません。大人は子供に甘いですからね、色々と便利だったりするんですよ」

「…では何を書けば…」

「千種は千種の願いを書けば良いだけです。何かないんですか?」

「…他に…」

「ええ、例えば新しい制服が欲しい、奴隷が欲しい、世界制服したい、など」

「…骸様、それは(…どうかと)」

「…骸様とボスが幸せでありますように」

「…それがクロームの願い?」

「…あと、犬がお風呂に入りますように」

「…じゃあ俺は、犬が猫と喧嘩しませんように…」

「クフフ、犬には困ったものですね。まだ時間もありますし、ゆっくり考えてみなさい。犬を捕獲した後に笹に飾りましょうか」

「…骸様は」

「はい?」

「…骸様の願い事も知りたい。千種も知りたいって」

「…はい骸様」

「……おやおや、僕の願い事なんてくだらないものですよ。知った所で何の得にもなりません」

「…はい」



「……でもまぁ、年に一度ですし、特別です」







他の人には内緒ですよ。
(雨が上がって二人が無事に会えますように)







少年少女ロマンス


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こっそり「綱吉と結婚出来ますように」とか小さく書いていたりする骸。色々突っ込みたくても突っ込めない千種。犬はお風呂に入りたくなくて逃走中。犬の願い事が「巨大ロボットになれますように」とかだったら可愛い。クロームは骸とボスの事ばかり考えていたら良い。骸はみーくんの躯を借りてます。

20090708





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