「いい加減俺を好きだと認めろ、ダメツナ」

偉そうに人のベッドの上に胡座をかいて、真顔で問題発言を簡単に口にする男。
周りには有り得ないくらいの数の赤い薔薇。
100本?200本?
いや、きっとそれ以上の数の薔薇だろう。
この非常識人のすることは非常識なのだから、数え切れるくらいのものではないのは確かだ。
この量の薔薇を、どこの花屋で手に入れたのかかなり気になるけれどその問題はとりあえず置いておこう。
スゥっと深呼吸して目の前の非常識オーラを纏う男を睨みつける。

「そんなに見つめるな。やっぱりお前は俺を好きなんだろう、認めろ」
「見つめてない。照れるな気持ち悪い。それに俺はお前を好きでもなんでもないぞ」

『睨む』を『見つめる』に自動変換させる妄想男は、何故俺を好きじゃないんだという不思議そうな顔をしている。
俺はそんな風に思えるお前の思考回路が不思議でならないけどな。
それに急になんだ、好きだとか認めろとか。
不思議発言もいい加減卒業して欲しい。

「いいか、リボーン。俺は男でお前も男だ」
「ああ、そうだな」
「だから俺がお前を好きだとかありえないんだ」
「なぜだ?」
「俺は男でお前も男だからだ」
「それは知ってるぞ。お前は馬鹿か」
「………」
「恥ずかしがらずに認めてしまえ」
「………………」

別に恥ずかしがっている訳ではないし認める事実もない。
なんて悪循環で終わりの見えない会話なんだろう。
さっきから同じ内容を繰り返している気がする。
ああそうか、俺はリボーンの言う通り馬鹿なのかもしれない。
リボーンのその不思議発言に頭を悩ませる俺はきっと馬鹿なんだろう。
そして目の前の非常識妄想馬鹿男をどうにかして欲しい。

「もう一度言うぞ。俺は男だ」
「俺も男だがお前を好いているぞ。なんの問題がある」
「問題なのはお前の頭だ、リボーン」

考えてもみろ、とリボーンは部屋にばらまいている無数の薔薇を一本だけ手に取って俺に渡す。
いらないよと言いながらそれを受け取る俺も甘いんだろうけど、薔薇に罪はないからな。

「獄寺も雲雀も骸もお前に好意を抱いているだろう?骸にいたっては異常なくらいだ。ツナがいないと死んでしまうと暴れる馬鹿だからな」
「…それが?」
「好きになるのに性別は関係ないということだ。男でも女でも運命を感じてしまったらそれでおしまい。相手の虜だ」

納得いくようないかないような言葉を並べて、ほらどうだという表情をされても困る。
好きになるのに性別は関係ないというのは解かる。
好きになったらおしまい。
相手のことが恋しくて苦しくてたまらなくて独り占めしたくなるのが、恋で愛で恋愛だ。
でもそれは異性だからこそだろう。
女の子が好きなのが当たり前だと思っている俺の考え方が間違っているのか?時代遅れなのか?
女の子を好きになる前提の男が、それをわざわざひっくり返してまで男を好きになる必要があるのだろうか。
しかもリボーンは俺を好きだと言う。
それだけじゃなく更に俺もリボーンを好きなのだと言う。

「だめだ、リボーンのせいでこんがらがってきた…」
「お前は馬鹿だな。俺を好きだと認めたらそんな悩みなんて解決するぞ」
「…しないよ」

そもそもリボーンは俺のどこがいいのか。
嫌々マフィアのボスになったけど相変わらず、ダメツナダメツナとリボーンに言われ続けているじゃないか。
それに比べてリボーンは容姿端麗で(変態だけど)、頭も切れるし(変態だけど)、どS発言だって(変態だから)女の子にはありえないくらいの人気振りだ。
女の子に不自由はしていないだろう。
だから(どうして俺なのか)、そこが一番引っ掛かるのかもしれない。

「俺のどこが好きなの」

考えてみたらもの凄い恥ずかしい事を聞いてしまったのかもしれないけど、考えても考えても解らないことは俺を好きだと恥ずかしげもなく連呼する、目の前の男に聞くしかない。
この男はなんて答えるのだろうか。
愛してる、などという恥ずかしい言葉を口にするのだろうか。

「どうして俺なの」
「理由なんてあるわけないだろダメツナ」

その答えに納得出来なかったら俺はお前を好きになんてならないぞ、という勢いで聞いたことだったのに、それをそんな簡単な言葉で打ち砕かれることになるなんて。
この非常識妄想変態馬鹿男の答えに期待した俺が馬鹿だったんだと泣きたくなった。


「ああそうだ、この薔薇はお前へのプレゼントだからな」

俺のツナへの想いはこんなもんじゃないぞとまだ何かをやらかしそうな、余裕溢れるニヤリ顔のリボーンからのプレゼントは大人しく受け取っておくことにした。
ああ駄目だ。
今年の誕生日はこの非常識妄想変態馬鹿男に流されてしまいそうだ。




天然変態男に振り回される誕生日(自分だけ余裕なんていい気なもんだ!)



誕生日おめでとう!
天然変態リボーン×男前つなよしテキスト





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