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「見られちまった…」

今日の仕事は簡単だった
さっさと終わらせて帰ろう
そう思ったのが甘かった

「ひっ…助けてくれぇぇ!!」

「おいっ!?待てヨ!!」

一人が建物の外に逃げてしまった

やっと捕まえる事が出来たのは閑静な住宅街
今は夜の12時
誰も通ることは無いだろう
そう思って仕事の続きに取り掛かった筈だった

「ひぃぃぃっ!!」

「自分がやった事よーっく考えてみなヨ。殺されて当然デショ……」

「死ねぇぇぇっ化け物っ!!」

ーパァンー

ターゲットが発泡する
それをオレは磁力で止めて、弾の向きを変えた

「目には目を…歯には歯を…」

「止めてくれっ!」

「……悪には正義の鉄槌を」

「たすけっうぐぁっ……」

「………馬鹿な奴…任務完了っと」

『任務って?』

帰ろうと家の方に爪先を向けた時、不意に声を掛けられた

『何で刻君がっ…人を殺してるの?』

「っ…奈々チャン……」

目の前に居るのはオレの学校のクラスメイトでもあり、オレの好きな人の奈々チャンだった

『…お願い……お願い刻君!自首して!………ちゃんと人を殺してしまった罪を償っ「無理だネ」……え?』

「オレは法では裁かれない。裁くことは出来ないんだヨ」

『何でっ…』

オレは何言ってんだ……
でも奈々チャンには言わなきゃいけない
でも今は……

「それは…今は言えない。話せる時が来たら話すヨ」

『そっか……でも、私っ!!今知りたいよっ!!』

泣き出してしまった奈々チャン

『刻君はいつも女の子にモテモテで、話す余裕もあんまりなくて……それだけ遠い存在なのに………近付きたくても近付けない遠い存在なのにっ!』

「え?」

『何があったか分かんないけど、刻君が平気で人を殺してるのを見て……此処で何も刻君の事知ること出来なかったらっ………………刻君がもっと遠くなっちゃう気がしてっ!!』

「奈々………」

オレの事そこまで思って……

「奈々…オレ、奈々が好きだ」

『えっ………』

「今はまだ何故こんな事をしているのかは言えない。でも奈々には唯一それを言える存在でいて欲しい」

『刻君…』

「なぁ奈々。オレと付き合ってくれないかナ?」

『……私も…私も刻君の事大好きだよっ!!』

今は言えない
でも言える存在でいて欲しい

受け止めてくれる存在であって欲しい

これから奈々を悲しませる事が沢山あるだろう

でもこれだけは変わらない









「奈々大好きだヨ……愛してる」








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