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『可愛い顔してもダメ!!』
「…でも、ボク奈々チャンが居ないと…」
『泣きそうな顔してもダメ!!』
目をウルウルさせて、今にも泣き出しそうな顔で私を見る少年…いや、少年の姿をしただけの脳内おピンク野郎
「いいジャン!1日泊めてくれるくらい!!」
『駄々こねてもダメ!!』
「嫌だ!ぜってぇ泊まるカラ!!」
脳内おピンク野郎こと刻くんは、さっきから しつこく私の家に泊まりに行くと言っている。
何でかって?んなのおピンク野郎の考えることだ。どうせ ピンクな妄想を膨らませているに違いない。
ロストしている彼が 子供の可愛らしい姿で強請るってのが、さらにイヤラシイ。
『引越ししたばっかりなんだよ?散らかってるし嫌だ』
「だーかーらー、この刻様が片付け手伝ってやるっテ」
『んなチビにできるかっての』
「できる!!」
いくら、こいつがおピンク野郎だからって、何だか必死すぎない?
『とにかく!絶対に嫌だからね!!バイバイ』
駄々をこね続ける彼を置き去りにして、私は家へと歩き出した。
「ねぇ…あの子可哀想じゃない?」
「あらっ、姉弟喧嘩かしらね?酷いお姉ちゃんよねぇ」
「置き去りにするなんて…あぁ!泣き出しちゃったわ」
……………………。
人通りの多いここで待ち伏せたのは、このためか…
視線が痛い…私、悪いことしてないのに
『性格腐ってるね』
「これで、断れないっショ?」
結局、私が折れる結末
最悪だ…
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