狡噛さん


『狡噛さん!狡噛さん!!』

「暁?」


走って俺の元にやってきたのは、ボケまくってる新米監視官。

どうやら このボケまくってる新米監視官は、ギノの手には追えないらしく、執行官である俺は 確実にコイツよりも立場は下にも関わらず 毎日面倒を見させられている…


『狡噛さんが 寂しいの!』

「はぁ?」

『今日バレンタインなの!!』

「ほぉ〜、監視官殿は バレンタインとやらにチョコの1つももらえない俺を気にかけてくれんのか、だが生憎 甘いものは嫌いだ、そんなもんより俺はこっちの方がいい」


ふぅーっとタバコを吹かせば、暁は眉間にしわを寄せた。


『それが寂しいの!だってタバコを吸うのは、口が寂しいからって2係の人が言ってたもん』

「口が寂しい?そりゃあ考えたことがなかったな」

『だからね、狡噛さんが寂しくないように いっぱいいーっぱい買ってきたからね?』

「は?」

『狡噛さんのお部屋にチョコいーっぱい置いてきたの、これで狡噛さん もう寂しくないでしょ?』


おいおい…コイツ本気で言ってんのか?
口が寂しいからって部屋中にチョコを置こうという思考回路もどうかしてるが、そもそもチョコごときでタバコを止めれるわけないだろ…


「気持ちは ありがたくもらっておくが、タバコを止める気には まだまだならんだろうな」

『そんなー…』

「監視官殿がタバコが嫌いってんなら、これからは 外で吸うようにする。悪かったな」

『むぅ〜…』


ものすごい膨れっ面で俺を睨む暁…
何だよ、まだ不満でもあるのか?


『別に私がタバコ嫌いとかじゃなくて…』

「じゃあ何だ」

『だって…やっぱり健康で長生きしてほしい』

「おいおい、俺は執行官だ そもそも長生きなんて…」


執行官の身を案じる監視官なんて、本当にこいつは 珍しい奴だ。
そういうところを 甘いと言う奴もいるかもしれない、確かに甘いが それでも、こいつといれば 自然と自分が人なのだと実感できる。


『長生きするように努力して!』

「わかった、わかった 努力する。だから そう睨むな」

『絶対だよ?』

「わかった」





禁煙チョコレート


「にしても、監視官殿は 執行官の健康管理でも任されてんのか?」

『違うよ?ただ…やっぱり…す…す、好きな人には長生きしてほしいし…//////』

「…は?!」


一瞬ショートした頭が回復したのは、すでに暁が遠くへ走り去った後だった。

してやられた…

不意打ちはなしだろ、なんて呟いてはみるものの、俺の顔は おそらく 最高に緩みきっているのだろう。







- あとがき -


狡噛さんがタバコネタしか思いつかない…

私ダメな子なんですごめんなさい…

私は好きなんですけどね、タバコ吸う男性(笑)



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