ツンとデレ

「わー!触るな馬鹿!」

「…お前さあ、付き合ってる自覚あんの」

「っ、何ですかいきなり今関係ないでしょ」

「いやあるだろ、なんで彼女に触るの拒否されなきゃなんねーの」

「…手つきがヤラシイ」

「頭撫でてるだけなんだけど」

最近名前のツン度ハンパねぇからマジで。
まあ元々恥ずかしがり屋ってのはあったけど。

付き合い始めてもうけっこう経つけど手を繋ぐのもたまにしかできねぇし。
さすがにキレるわけにもいかねぇから穏便にやってるけどさすがにそろそろ我慢の限界だっての。

「…分かった、そこまで言うならもう触らねぇよ」

「え…」

「嫌なんだろ、触られんの。だから触らねぇって言ってんの」

視線で訴えてくるけどそんなの知らね、気づかないフリ。
いい加減素直になれよ。

学校ではクラスは同じでも名前は女友達とつるんでるから話すことはない。
あるとすれば放課後くらい。
つっても俺練習あるし長くは話さねぇけど。

土日だって練習あるし一緒にいられる時間なんてほとんどねぇから触れられる時に触れておきたいってのに、最近拒否られてばっかなんだぞ。
別にやましいことしようとかしてるわけじゃねぇのに散々拒否られてりゃこっちも手を打つしかねぇもんな。

「じゃ、俺練習あるから」

「あ…うん、頑張って…」

さてと、今回はいつまで持つかな。
俺の予想では三日以内だけど。







「く、倉持。放課後話あるからちょっと残ってて」

「ん」

俺から声をかけることも触れることも止めて今日で三日目。やっぱ俺の予想通り三日以内に折れたか。

放課後になって教室に残った俺は自分の椅子に横向いて座ったまま。
そんな俺の元に近寄ってきた名前は落ち着かねぇ様子。
俺は名前が何か言うまで喋らない。
ここで俺が折れてちゃ意味ねぇからな。

「…倉持」

「なに、用があんなら早く言ってくんねぇと俺練習あるし」

「っ…ごめん、なさい」

ちょっと冷たくするだけですげーシュンとしてすぐに謝ってきた。
無粋かもしんねぇけどこういう時の名前はけっこう好きだ。

まあいつもツンが多い分こういう時の甘え方が俺のツボだったりもする。

首に腕回してきつく抱きついてくる名前。
まあ今回は素直に謝ってきたしもう十分いい薬になったと思う。

「ごめん、倉持…」

「ん。まあちゃんと謝ったから許してやるよ」

「…好き」

「俺も名前が好きだ」

「ん…」

優しく頭撫でてやれば安心したように体の力は抜けていった。
腕は首に回したまま視線を合わせる名前の顔は赤くなってる。その赤くなった頬を撫でてからそっと口付けた。

「…ちゃんと謝れた褒美、な」

「な…ばかもち!」

「あれ、んなこと言っていいの。
次は洋一って呼ぶまで許さねぇから」

「うっ…」

ヒャハハ、照れ屋な名前にとっちゃ名前で呼ぶなんて相当レベル高いよな。

これを機に照れ隠しにツンツンすんのは卒業してほしいもんだわ。
まあそう簡単には無理なんだろうけど。

まあキスは出来たし今日の収穫は上々ってとこだなヒャハッ。

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