真夏の外は干からびそうな程に暑かった。
人もポケモンも炎天を避けるように歩き、足早に涼しい場所を求める。

そんな中、彼らは外で休息をとっていた。
大きな木の下なら大の字になっても体は陰に収まる。
たまに吹き抜ける風が心地いい。

ただ何をするわけでもなく、それぞれが木に寄り掛かって時を過ごしていた。


「すっかり寝てるし」
膝の上で気持ち良さそうに眠る彼女。
どうしてこんな状態になったかは覚えていない。正直足は痺れるし、自分がして欲しいくらいなのだけれど。
夢見が良いのか、ちらちら見せる笑顔にまあいいかと肩を竦める。

ただ、やはり足の痺れはキツかった。
「カスミさーん。せめて足を伸ばさせてくれません?」
胡座をかいた足を組み替えたい。
全く聞こえていない様子にため息をつきながら、足を伸ばすために軽く頭を持ち上げた。

「・・・むぅ」
それが気に食わなかったのか、彼女は抵抗を見せた。
離れることを拒むようにぎゅうっと握られた己の服。より近くへと擦り寄るように身をよじった体。暫く見届けていたが、気が済んだように次第にまた穏やかな寝息が聞こえてきた。


なんだこれ、
可愛くて仕方ないんですけど。

顔に掛かった髪を払ってやりながら湧き出てくる気持ちに口角を上げた。

「起きててもこれだけ素直ならいいんだけどな」

「・・・素直じゃなくて、悪かったわね」
「あれ、起こした?」

いつの間にか目を開けた彼女は服から手を放して欠伸をした。放れていった手が少しだけ名残惜しい。

「髪触られて、顔に手が触れたから。 なんであたしサトシの膝で寝てるの?」
「俺にもわからん」
「んー、まあいっか」

「おい、また寝るなんて狡いだろ。交代しようぜ」
「いいじゃない。サトシの膝寝やすいんだもの」
「そうか?」
自分の筋肉質な足より柔らかい彼女の足の方が全然寝心地良いと思うが。

「たまにはこうやってサトシを見上げるのも楽しいし」
手が頬へ伸びてくる。
その手に重ねるように自分のを置けば嬉しそうに目を細めた。
「俺もカスミの寝顔がバッチリ見えるから飽きないよ」
「盗み見はよくないわよ。カスミちゃんの寝顔は高いんだから」
「金かよ」

「フフ。サトシも寝れば?あ、このままの体勢でね」
「そうだな。どうせ時間はあるし・・・寝るか」




時間が経てば今度は二つの寝息が聞こえてくる。
良い夢を見ているのか、微笑みが浮かんでいる二人。
二人の手はしっかりと繋がれていた。





特等席
(この場所は誰にも譲らない)




女の子の膝枕ももちろんときめくけど、男の膝枕に女の子が背中丸めて眠ってるのに激萌えです。
というのを書きたかった。

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