「ジャリガール。ちょっと探してきなさいよ」

「はぁ、10分で戻ってきます」



6時間目のLHR。

今日はいい天気だから外が気持ちいいだろうな、と考えていたらムサシ先生からのご命令。

5時間目までは教室にいたハズなのに姿を消したサトシ。
行く場所は大抵決まってるから探すのには苦労しないけど、サトシのために動いていると思うと納得がいかない。

(ん〜と、今日はたぶん・・)




ガチャ


屋上のドアを開けた。そしてその正面にはのんきに寝転んでいるあいつ。


「サトシ!授業をサボるな!」

「あれ?今日は早いな」
「あんたのサボる場所は屋上か保健室、それか学校の裏の木。今日は保健の先生が出張で保健室は空いてないもの」
ズカズカと近づきながらアンタの考えなんか全部お見通しなのよ、と自慢気に話す。


「・・・そっか」
「何嬉しそうな顔してんのよ」
嬉しそう、というかニヤニヤした感じに笑ってる。

「別に。でもさ、裏の木かもしれなかっただろ。授業始まってまだ5分だから教室からここに直行っぽいけど、迷わなかったのか」

「そこは女の勘よ」

あ、そう、と今度は呆れたようにため息をつかれた。
(なによ、女の勘を甘く見ない方がいいわよ)


「でも何で今日は屋上だったの?」


「今日はいい天気だから外が気持ちいいじゃん」

「・・・・・」

「どうした?」


「な、なんでもない!」
同じこと考えてたことを、不覚にも嬉しいと思った。
(・・なんでだろ?)


「と、とりあえず教室戻るわよ。じゃないと今度の体育祭に出る種目、勝手に決めるってムサシ先生が言ってたわよ」
「んー、せっかくだし寝ようぜ、カスミも」
寝転んだままサトシはとんでもないことを言った。

「はぁ!?今、あたしの話し聞いてた?というか、あたしにサボれっていうの?」
「たまには息抜き息抜き。最近勉強してて寝てないだろ」
隈ができてる、そう言って急に手を伸ばしてきた。



ふわっ


一瞬、何をされたかわからなかったが、目元を撫でられたと理解した途端、顔が火照っていった。
「・・・なっ、中間テストが近いんだから当たり前でしょ!赤点取りたいの!?」

「でもまだテストは1ヶ月先だぜ?先に体育祭があるんだし、無理してると体壊すぞ。だからさ・・」

「わっ」
コンクリートに向かって引っ張られ、思わず目を瞑ったが、引っ張られた先はサトシの腕の上。

「はい、おやすみー」

「おやすみって、ちょっ」
文句を言おうと睨めば、相手はもう夢の中。

「・・・もう寝てるし」


気持ちよさそうに隣で寝られると、こちらもその気になってくる。ダメダメ、と思っていても、やはり疲れがあるのか瞼が重くなっていった。


「・・・ちょっと、だけ、なら・・・」







本当はね

教室から屋上に来たのは

別に女の勘なんかじゃなくて


裏の木の木漏れ日の中で寝るのもいいけど


サトシはきっと

こんないい天気の日なら

太陽の光を直接浴びたいんじゃないかって思ったから



ただ、そう思ったから

屋上に来ただけ





絶対教えてあげないけどね





やがて、静かな屋上には2つの寝息だけが聞こえていた。







「せんせー。サトシとカスミ戻ってこないよー」
「いいわ。あいつらなしで決めるわよ」







予測可能な行動パターン
(探す時間が短くなればなるほど、
彼女が俺を見ている証)





――――――――――

現実は大抵屋上立入禁止←多分
私は地学の授業で山の観察実習ぐらいでしか屋上に行った記憶はありません´∀`


 
09/11/23
改11/1/3
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