「それで、そのままラプラスはサトシの家で育てることになったんだな」
「ああ、カスミもウミも気に入ってるみたいだしな」

ラプラスを連れてハナダジムのプールに遊びに行っているウミとカスミ。
その間サトシはタケシのいるニビシティに来ていた。

「いいんじゃないか。確か前に自分のポケモンが欲しいってウミちゃん言ってたよな。ウミちゃんの手持ちにするのか?」
「とりあえず今は保護って形だな。持ち主は見つからなかったけどウミはまだ5才になったとこだし、もう少し成長してから考えようってカスミと決めた。」

まぁ、手持ちにしなくても一緒にいるなら同じだろ、言いながら出されたお茶を飲み干し、サトシは時計を確認した。


「もう時間か?」
「ああ、少しでも約束の時間に遅れると怒るからな、あいつら」

「なんだ、ウミちゃんも怒るのか?」

「いらない所からカスミに似てくるんだよな。この前なんか、パパ、しょーぶにかったからってちょうしのっちゃだめなんだよーって言われたんだぜ?カスミの影響だろ」

文句を言いながらも顔は笑顔なのだから説得力がない。
タケシは苦笑しながらポケモンフーズを手渡した。

「ほら。この前見たとき、あのラプラスは素直な性格だったからな、これをあげてくれ」
「サンキュー。さすが世界一のポケモンブリーダーだぜ」

「世界一になったワケじゃないんだけどな」
「いいんだよ。俺からしたらタケシは世界一なの。じゃ、行くよ」

渡されたポケモンフーズをしまい、席を立つ。

「今度はカスミとウミちゃんも連れてくるといい」
「ああ。それじゃ、またな」


リザードンの背中に乗って颯爽と飛び立つ姿。その姿が見えなくなるのはあっという間だった。











「ウミ。そろそろパパが来るから上がって」
「はーい。ラプラス、そろそろ帰るって」
「・・クゥン」

「・・・・ママ」
もう少し遊びたいと不満を漏らすラプラス、それに負けてあとちょっとだけ、という顔をするウミにカスミは項垂れる。

「ウミ、ラプラス。そうやってこの前は二時間遊んでたわよね」


「きょうはホントにすぐかえるから・・・だめ?ママ・・」

「んー、でもパパが来ちゃうし・・」
「俺なら大丈夫だよ」
背中から聞こえた声は聞き慣れたもの。それに反応が早かったのは娘の方だった。


「パパ!」
「サトシ!今日はちゃんと時間通りにきたのね」
「リザードンに連れてきてもらったからな。ひとっ飛びだぜ」

「リザくんいるの!?あいたい!」
輝かしい満面の笑みは間違いなく父親譲り。
サトシは愛らしい娘の頭をよしよし、と撫でた。

「ここはプールだからあいつはあまり喜ばないよ。後で家に着いたらな。さ、もう少しラプラスと遊んでこい」
あとこれ、タケシから、と、先ほど貰ったポケモンフーズを渡した。

「タケにぃがくれたの!?わーい!」
ウミは受け取ったフーズを見つめ、嬉しそうにラプラスに駆け寄った。
それを見届け、プールサイドに座っているカスミに近づく。



「タケシ、元気だった?」
「元気そうだったぜ。この前ラプラスが産まれた時に検診に行っただろ?あの時だけでタケシ、ラプラスが素直な性格だってわかったみたいなんだ。さすがだよな」

「あんたもわかってたんじゃないの?」

「俺はタケシみたいに確信なんかなくて、何となく思っただけだよ」

ふーん、野生の勘ね、とカスミは笑いながら言った。


「長年の経験だろ。そういえばピカチュウは?」

「ピカチュウなら遊び疲れてルリリと一緒に寝てるんじゃないかしら。ラプラスとウミはまだまだ元気だけどね」

「そっか。元気なのもいいけど、カスミもつられてあんまりはしゃぐなよ、今が大事な時なんだから」
「安定期に入ってるから大丈夫よ」
そう言って愛しそうに膨らみのあるお腹を撫でる。それを見たサトシは気遣いながらもカスミの肩を抱き寄せた。


「男の子、か。俺に似てるといいんだけどなー」
「全部似すぎてても困るわね」
「どういう意味だよ」
「そのままの意味よ」


「あー!ママとパパがラブラブしてるー!あんまりばかっ、ぷ、る?してちゃダメなんだよー」

ラプラスは気が済んだのか、自分からモンスターボールに入ったらしい。ボール片手にこちらへ走ってきたウミは、二人を見るやいなやそう言った。


「・・・・・」
「・・・・・ウミ」
「なぁに?パパ」

「今の言葉、誰に教えてもらったんだ?」
「いまの?」
「あんまりバカップルしてちゃダメってやつよ」

「あのね、ハルカねぇとヒカリねぇがおしえてくれたんだよ」
パパとママがぎゅってしてるときにいってごらんって。


「・・・あいつら」
「変なことは教えないでっていつも言ってるのに」
ハァ、と溜め息をつく二人を不思議そうに見上げながらも、ウミは母親の隣に座った。

「もうすぐ赤ちゃんうまれるんだよね?はやくあいたいなぁ」

さっきまでの言葉など気にせず、次々と話が変わるのは子どもならではだろう。ニコニコ笑う娘に二人は苦笑した。

「そうね。あともう少しで、新しい家族が増えるのよ」
「ウミね、いーっぱいやさしくしてあげるんだ!」
「そうだな。そしたらこの子、きっとすっごく喜ぶぜ」



それはもう少し
(賑やかな家族にまたひとり)
(皆が君を待ちわびている)




――――――――
サトシ、カスミ、ウミ、弟、の四人構成がイメージです。
ウミと弟は4、5歳差を目標にしてます。

いやしかし、また主旨が消えたなぁ←



09/11/1
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