「玄奘」
名を、呼ばれる。
そう認識すると同時に沈んでいた意識がゆるゆると浮上する感覚を味わう。
「あ、すいません。起こしてしまいましたか」
あたふたと慌てる悟浄が愛しくて、つい笑みがこぼれる。
「いえ、構いませんよ。それより何かありましたか?」
名前を呼ばれたからには何かあったのかと思ってそう尋ねると、悟浄はもごもごと口の中で何かを言うだけで、ちゃんとした答えを返さなかった。
「悟浄?」
「……目が、覚めて、」
「?」
「目が覚めて真っ先にあなたの姿を見かけてあなたが俺の隣で寝ていてそれがどうしようもなく幸せな事に思えてそれで名前を……」
ようやくそれだけ言って頬を染めて、黙り込んでしまった悟浄が愛しくて、目を細める。
「私の名前でよかったらいくらでも呼んでください。私もあなたに呼ばれると嬉しいです」
「じゃあ、玄奘……」
「はい」
「玄奘」
「はい」
「玄奘……。俺は、幸せ者です。あなたのような人を妻に出来て」
「私もですよ、悟浄。あなたが私の夫でよかったと、そう思います。幸せに、なりましょうね」
「もちろんです。この悟浄、あなたの事は全身全霊で幸せにすると誓います!」
「ふふ、楽しみにしてますね。さ、寝ましょう。まだ夜明けまでしばらくありますし」
「そうですね。起こしてすいませんでした。おやすみなさい、玄奘」
「ええ、おやすみなさい、悟浄。良い夢を」

(S.Y.K/浄玄/ED後) 
 
2013年2月ラヴコレの無配でした。
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