いつもの学校の帰り道、迷子防止の為に次屋先輩と手を繋いで歩いてた時の事だった。

「しろ。アイス、食わねえ?」

僕より少し前を歩いていた次屋先輩がいきなり振り返ってそう問いかけてきた。
次屋先輩の提案は唐突だったけど反対する理由もないし、僕自身もアイスを食べたかったからなにも考えずにすぐ、返事をした。

「食べたいです」
「うし、んじゃ決まりだな。じゃあ、あそこのコンビニだな」
「はい!……って、次屋先輩違います!まっすぐですってば!なんで目の前にあるのに左に行こうとするんですか!?」

にかっと笑った直後に迷子になりかける次屋先輩を慌てて引き留めながら僕たちはコンビニの中に入った。


  *  *  *

「お、お邪魔します」
「そうかしこまらなくっていいって。気楽にしてろよ」
「そんなこと言われましても……」
「んー、まあ、徐々に、な?」
「はい……」

ぽんぽんと頭を撫でてくれる次屋先輩の掌が温かくて、少しだけ緊張がとけた。

あの後コンビニでアイスを買ってから次屋先輩が「俺の家で食べない?」と言い出したから今、僕は次屋先輩の家にお邪魔している。
別に次屋先輩の家にお邪魔することが初めてな訳ではなかったけど、やっぱり何回来てもまだ慣れない。

「ほら、しろ。そこ座ってアイス食おうぜ」
「あ、はい」

次屋先輩に促されて机の近くにあるソファーに次屋先輩とほんの数センチだけ距離を開けて座る。

「あ、美味しい。次屋先輩、あーんしてください」
「ん。……お、本当だ。んじゃ、はい。しろ、あーん」
「はーい。んー、これも美味しいですね!」
「やっぱりアイスは美味いな。しろと食べてるから更に美味しく感じるのかもだけど」
「僕もいつもより美味しく感じるんだなあ」

食べさせ合いをして同じ味を共有して、笑い合った。
たまにはこういうゆっくりした時間も幸せだなぁ、と思ってると次屋先輩の顔が近付いてきて、口の端を舐められた。

「!?」
「アイスついてた」

驚く僕をよそに今度は唇を塞がれる。
最初は軽く、次第に深くなって、口の中を蹂躙されていく。

「……っは、」
「……つ、ぎや……せんぱ、い」
「わり、もうちょっと」

一回離れたかと思えば再び深く口付けられる。
それが何回か繰り返されて、息が苦しくて、次第に考えるのもできなくなり始めていた。

「せ、んぱ…………あ、いすは」
「いいから、今はこっち」

何回目かの息継ぎの時にうわごとかのようにそう呟くもまたすぐに唇を塞がれた。

(あぁ、とける、)

アイスも、理性も、とけてしまう。
次屋先輩と一緒にとけてしまえるのなら、それもいい。

そう思いながら、僕は理性を手放した。


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