もふっと肌触りのいいファーに触れる。
肩辺りから背中、腰と段々下へさげていく。
ファーのどこを触っても本当にもふもふで、触り心地がいい。
「……なに、してんですか?」
珍しく困惑したような口調でそう聞かれる。
「なに、ってわからないの?ファーを触ってるだけよ」
「わかりますよ、それくらいはわかりますよ。むしろそれくらいもわからないって思われてるんですか、ぼくは」
「そんなわけないわよ。ただ円が聞いてきたから答えただけじゃない」
「ぼくはそんな答えを求めてたわけじゃありません」
にべもなくそう言われ、身体を翻される。
手に感じていたものがなくなって少しだけ残念に感じると同時にその手を取られ、円の口許に引き寄せられそのまま手首を口付けられた。
「なっ、に、するのよ」
「なに、ってわからないんですか?口付けですけど」
「っ、円。あなたね……」
一気に頬に熱が上るのを感じる。
恥ずかしくて、キッと円を睨みあげる。
「ああ、いいですね、その顔。あなたのその顔、本当にそそられますよ」
「悪趣味……」
「悪趣味でけっこうです。あなたの魅力はぼくだけがわかっていればいいんですから」
(2012年6月24日ラヴコレクション2012 in summerにて無料配布)