ゆっくりと櫛で雷蔵の髪を梳かす。湯浴み後だからか時々ひっかかってもすぐにほどけて、滑らかに雷蔵の髪の間を櫛が通る。この感触が楽しくてつい笑いを溢すと雷蔵が自分の髪はいいのか、と問いかけてきた。「この髪はかもじだからね。でも、そうだな……君にだったらいつか私自身の髪を梳かして欲しいな」
(2011年12月14日)

「らーいぞっ」読書をしていると視界に自分そっくりの顔が入ってきた。「どうしたの、三郎」本を閉じて三郎に目を向けると三郎は笑顔を浮かべながら言った。「呼んでみただけさ。雷蔵は今日も可愛いなあ」そう言われた直後、僕は三郎に背を向け歩き始めた。(可愛いのはお前だ、馬鹿) 顔が、火照る。
(2011年12月15日)

触り心地のいい髪、滑らかな肌、赤い、魅惑的な唇。それらを寝入っている雷蔵が起きてこないように、壊れ物を扱うかの如く触っていく。一旦触り終わった後、再び唇に触れる。下唇をつつ、となぞり、それから同じように上唇をなぞる。吸い付くようなその感触が楽しい、とも思えるし、愛しいとも思える。
(2011年12月17日)

噛みつくように首筋に唇を落とされる。ちくり、と軽い痛みの走った後、ゆっくりと三郎の顔が僕の首筋から離れていった。離れた三郎の表情を見てすぐ悟る。鏡を見なくてもわかる。三郎があの満足そうな表情をする時はほぼ間違いなく、僕の首筋の誰からも見えるような場所に赤い、三郎の痕が残っている。
(2011年12月17日)

『雷蔵、好きだよ』『もし君がいなくなってしまったら私はどうなってしまうんだろうね?』そう言っていた三郎を思い出す。口許は、笑っていた。けれど目は真剣そのものでまるで射ぬかれるような感覚になったのを思い出す。「早く、お前の元に帰るから、」そう呟いて、意識を演習に向けた。
(2011年12月18日)

(転生現パロ雷蔵が女(三郎に記憶無し))幸せそうな笑顔で雷華が微笑む。変わらないな、と感じて自分も自然と頬が緩む。そこで違和感を感じた。──変わらない? どうしてそう思った? わからない。ただ、その雷華の笑顔は懐かしく思え、見ているこちらも幸せになるような笑顔だった。
(2011年12月19日)

布団の端が捲られる。またか、と思って窘めたけど返事がない。いつものように腰に手が回らない。おかしい、と思っていると、微かに嗚咽のようなものが聞こえてきた。(ああ、なるほど……馬鹿だなぁ)でもそういう所が愛しいとも思う。「今日は寒いね、三郎」そう言ってそっと三郎の身体を抱き締める。
(2011年12月23日)

両瞼に手を添えられ、視界が真っ暗になる。「君は、見なくていい。見なくていいんだ……っ」三郎が必死に言い募る。「三郎、僕だって忍だ」静かに、だけど確かな意思を込めて告げると三郎は一瞬、身体を揺らし、渋々といった感じで手を下ろす。「どんなものでも共有したいんだ。僕達は双忍、だろう?」
(2011年12月23日)


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