つつ、と熟睡している三郎の顔の輪郭を軽く撫でる。まるで本物のような質感をしているけども、本物であるはずがない。三郎の顔はずっと僕の顔のままだ。誰もこの顔の下はみたことがない。ずっと一緒にいる僕でさえ。「なぁ、三郎。いつになったら本当のお前を見せてくれる?」呟きに答える声はない。
(2011年12月6日)

(転生現パロ雷蔵が女(記憶無し))「時々夢に出てくる人と鉢屋君はそっくりだから、怖いの」そう言って雷華は泣きじゃくる。「どうして」「夢の人は何度も私を庇って傷を負うの。命に関わるような傷も出来てた。だから、怖いの」ただ夢の中の事なのに私を心配してくれる。今も前も。ああ、愛しい。
(2011年12月7日)

『忘れないよ、お前の事』口元しかわからない人物が微笑みを湛えながら言う。何度同じ夢を見ただろうか。夢の人物が『忘れない』と言ってくれても自分は『忘れない』と夢の人物が言ってくれたこと以外を忘れてしまっている。ただわかるのは声からして男ということ。思い出せるのはいつの日なのだろう。
(2011年12月7日)

『愛しい』『好き』という気持ちを目一杯乗せて『愛してる』と囁く。他人がいる時でも道を歩いている時でも、関係なく雷蔵に愛を囁く。どんな状況で言っても雷蔵が可愛いのは変わりないけど最も可愛くて、愛しいのは二人っきりの部屋の中で愛を囁いた時。雷蔵が愛し過ぎてどうにかなってしまいそうだ。
(2011年12月8日)

湯浴みから戻ると三郎が手拭いを持って待ち構えていた。たまには素直になって髪を拭いてもらう。拭いている途中に三郎が「愛してるよ、雷蔵」と呟いた。その呟きにいつもなら恥ずかしくて言わずにいた事を今日は素直に言った。「僕もお前の事愛してるよ、三郎」見上げたら珍しく三郎が赤くなっていた。
(2011年12月8日)

寝る直前、三郎に抱き締められ、髪に、つむじに、耳に、額に、瞼に、頬に、唇に、口付けを落とされる。「三郎、くすぐったい」少し笑いを含みながら言っても三郎は僕を離さない。それどころか僕達の間にある隙間を無くすかのようにさらに抱きすくめられる。三郎のそんな行動全てが、愛しいと感じる。
(2011年12月8日)

星明かりは疎ましく事が多い。だが今はただ綺麗だと思える。ぎぃ、と背後で音がしてこんな時間に、と思い振り替えるとそこには部屋で寝ていた筈の雷蔵が立っていた。「雷蔵?」「三郎がいなくて、その、」赤くなってる雷蔵の顔が星明かりではっきりと見える。ああ、だからたまにはこんな夜も悪くない。
(2011年12月12日)

「痛くない?」「これくらい平気さ」そう言って笑いながら僕の顔に触れる三郎の腕には白い包帯が巻かれている。さっきの演習中に僕を庇って出来た傷。その傷を障らない程度の力で上からなぞる。「無理をしないでくれ」か細い声で言うと三郎は一瞬目を見張ってから破顔して言った。「ああ、わかった」と
(2011年12月13日)


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