この身を形なすものは
数えきれないお前との日々
離れられる訳がない
未来を繋いで行くものも
お前への想いだけなのだから


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星月高校での生活も折り返し地点を突破して、これからは残り半分の高校生活が俺達を待っている。

月子や哉太がいるなら楽しくない訳がない、とわかっているが、どこかに寂しさがあるのは事実だった。
羊の帰国だって、俺達が寂しさを感じるのには十分だった。

「って、何をナーバスになってるんだ俺は」

ついつい暗い方向に傾いてしまった思考を頭を振りながら霧散させていると、電話が鳴った。
ディスプレイを見なくてもこの着信音で誰から電話がかかって来たのか、なんてすぐに分かる。
こんな時間に珍しいな、と思いつつあまり待たせるのも悪い気がしたので俺はすぐに電話を取り、通話ボタンを押して、話しかけた。

「もしもし、どうした?月子。」

俺の愛しい、愛しい彼女である月子は基本的にこんな夜も更けた頃に電話なんてしてこないから、こんな時間になってまで電話をしてくるような事態になるなんて、と俺は心配になった。
だけど、電話越しに聞こえた月子の声と発言は俺のそんな心配をあっさり吹き飛ばした。

「天体観測に行こう?
いいけど、また突然だな?
じゃあ寮のすぐ前で待ってるように。いいな?」

寮の前で待ってるように釘をさしたあと電話を切った俺はすぐに準備をして部屋を出た。

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若干急ぎ足で月子がいる寮に行くと、月子は既に寮の玄関前で俺の事を待っていた。
「月子」と呼び掛けると、月子はパッと俺の方を向いて顔を輝かせた。
その様子が月子本人には悪いとは思うけど、犬に見えた気がした。

「じゃあ、行こうか。」

笑いを堪えようとする俺を不思議がる月子を軽く宥めてから俺達は屋上へ向かった。

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屋上には当然の事ながら誰もいなかった。
夏も終わりかけで、秋の気配が見え隠れしている最近では昼はまだ多少暑いものの夜は涼しくなって心地よい風が吹いてくる。
持って来たレジャーシートを敷いてから隣に並んで座って、天体観測を始めた。

最初は俺も月子も無言でそれぞれ星を眺めていたけど、暫くたってからはどちらともなく喋り始めた。
その内容はいつも俺達が教室とかで哉太も交えて話しているような事ばかりで、安心したような、不安になったような感じがしていた。

月子といると、安心する。
今まで感じていた親心みたいなものや、友情とは格段に違うこの安心する感じは、俺の月子に対する愛情から来ている、と確信できる。

ただ、今感じている不安も月子への愛情から来るものだとわかっている。

月子が愛しくて、離れたくなくて、離したくなくて、ずっと俺のこの腕の中に閉じ込めていたくなる。
でも、そんな独占欲が許されるとは思ってない。

でも、せめて、
せめて、今、月子をこの腕の中に掻き抱くくらいは許されたい。

伸ばした手が届くのは幸せな事だから。


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