Clap
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*ユーリ先生×ナタリアちゃん
*学パロ
目的の本まであと数センチ。
数センチ手を伸ばせば、取れるというのに。
本棚の上から二番目。『簡単お菓子作りのレシピブック』は未だナタリアの手に取られる事なくどっしりとそこに構えていた。
脚立に登っても届かないその高さは、もはや『お菓子作りの本』などと女子向けの本を置く場所ではないのではと思わされる。
「もうちょっと…ですのに…!」
背伸びしてもダメ。
周りに頼れる人も見当たらない。
こうなったら諦めて他の本を探すべきだろうか。
そんな考えが一瞬頭を過ぎたけれど、
「いいえ!まだですわ!だってもうすぐ―――」
(あの方のお誕生日なのですもの!)
こっそりとお付き合いをしているあの方に日頃の感謝の意味合いも込めて手作りのお菓子を渡す。
甘いもの好きな彼ならきっと喜んでくれる筈だから。何としてでもナタリアにはあの本が必要なのだ。
「お嬢さん、下、丸見えだぜ」
「!?」
決意表明してる最中不意に聞こえた、そして聞き慣れたその声。
恐る恐る下をみるとそこには『甘いもの好きなあの方』がニタニタと意地の悪い笑みで此方を見上げていた。
「ユ、リ、先生っ!?下って、まさか―――」
「白にピンクのリボンか。結構可愛い趣味してんじゃねぇか」
「なっ、もう先生!破廉恥ですわよ!――って、あわっ、わっ」
慌ててスカートの裾を引っ張って隠す。その反動で脚立がおもいっきりぐらついた。
バランスを崩したナタリアはもちろん固い床と御対面。
「…あ、あら…?」
「―――怪我は無いな?」
「わっ!?」
……する筈だったのだが。
本棚を背に、後ろから抱き締めるようにユーリはナタリアを受け止めていた。
振り向けばすぐ近くに見える先生の顔に、自分の体に回る先生の腕に、背中に感じる先生の体温に、ナタリアは自分の顔が真っ赤になるのが分かる。
尻にあたる床の感触が酷く冷たく感じた。
音に気づいたのか今更ながら図書委員が駆けつけたが、2人の姿を認めると『すみません』、と逃げるように引き返していく。
「何か勘違いされたっぽいな」「あ、当たり前ですわ!こんな姿…!!」
「まぁあながち勘違いでも無いんだけど…」
「へ、あ…?ちょ、ど、どこ触って…」
するりと撫でられる太ももがピクリと跳ねる。耳に先生の息がかかり、更に体温が上がっていくような感覚が襲う。
「せ、んせ…」
「なぁ、ナタリア」
お菓子作りなら、今度先生の家で特別レッスンしてやろうか。
吐息混じりの、耳元でささやかれる先生のお誘い。
相変わらず意地悪な先生の言葉にナタリアは腑に落ちないまま静かに頷いた。
end
(絶対分かってて言ってますわね…)
(ん、何の話だ?)ニヤニヤ
拍手ありがとう御座います(*´∀`)
お次はアルヴィン×にょたジュードです。