「お前、オレのこと好きだろ」
「いやそれありえないから」

急にこいつは何を言い出すのかと思ったが、ウソップは間髪入れずに即答した。そんな遣り取りから数日、サンジの視線が痛い。しかもいつもにまして突っ掛かってくるのでやたらしんどい。精神的に。そもそも何をどうしたら自分が好かれていてると思うのか。

(まったく意味がわからないっつーの。オレにどうしろっていうんだよ!大体いつも酷い目に合わされてるっていうのに、悪意を持っても好意を持つ訳ないだろ…)

「――おい」

(それにしても、もしオレがYESと答えてたらどうなってたんだ…?…いやいや、何真剣に考えてんだよ!あんなの絶対冗談に決まってるだろ。あいつは筋金入りの女好きだしな!)

「おい、ウソップ」

(でも、もし冗談じゃなかったら?)

そこでウソップの思考は業を煮やしたサンジの蹴りによって中断された。

「いい加減にしろよ!この長っ鼻が!!」
「っっっ痛ぇじゃねーか、このクソコック!!!」
「さっきから人が呼んでるのに無視してんじゃねぇよ」

気が付かなかったことは確かに悪かったが、何も本気で蹴りを入れることはないだろとウソップは思った。まだ蹴られたとこがじんじんする。

「…考え事してたんだよ。で、何の御用ですか」
「………」

沈黙。訪れた静寂に数秒待ったが返事はなし。変わりにサンジはタバコの煙を吐いた。

「何の用もないのに、蹴り付けるなよ!!」
「どうせ碌じゃないこと考えてたんだからいいだろ?」
「勝手に決め付けるなよ!大体お前が…!」
「…オレが?」

サンジは一瞬思案し、何かに思い至ったらしくニヤっと笑った。何だかきまりが悪いウソップは話を逸らした。

「あ、ほら向こうに愛しのナミさんがいるぞ」

「おーい」と手を振れば、向こうも気づいて手を振り返してきた。「行って来いよ」とサンジを振り返ってウソップはギョッとした。

(なんつー顔してんだ、こいつ)

サンジはさっきと一変して、捨てらた犬とか猫のような顔をしていた。

(そんな顔されたらオレが悪いみたいじゃないか!てかそもそも何でそんな顔すんだよ!これじゃまるでオレから離れたくないみたいじゃ…って)

「な、サンジ」
「…なんだよ」
「お前、オレのこと好きだろ」
「―――っ!」

不貞腐れていたサンジの顔が驚きに変わり、最終的に真っ赤になった。もしかして、とは思ったがこれじゃ疑いようもない。

「…まじかよ…」

ウソップは泣きたくなった。









38.気づく




100413

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ヘタレコックとノンケ狙撃手を書きたかった。喋り方がおかしい気がするけど、俺は気にしない!←←







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