恋は盲目 |
ー 朝 ー 「おはよう…」 「おっす!ツナ!…てあれ?どうした?元気ないのな」 「うん……獄寺君がいないんだ…」 「ん?そういえば今日はまだ見てねぇな?」 「いつもは必ず俺ん家の前で待っててくれる筈なのに…電話しても出ないし……」 「寝坊してるんじゃねぇか?」 「どうしよう…何かあったのかなっ!? やっぱり獄寺君家に…っ」 「ツナ落ち着けって!」 「じゅうだいめぇえーーっっ!!!」 「っっっ!!??獄寺君っ!!」 「す、すいません!!!ちょっと寝坊しちまいまして…十代目をお迎えに上がれませんでした…」 「ほらな、やっぱーー…」 「もうっ!もしかしたら事故に遭ったのかもとか、獄寺君格好いいから誰かに監禁されてるのかもとか、獄寺君可愛いから何処かの変態にあんな事やこんな事されてるのかもとか、取り敢えず心配したんだからっ!」 「じゅうだいめ……」 「ツナーなんか後半おかしくねー?」 「獄寺君っ!」 「は、はいっ!」 「俺、本当の本当に心配したんだよ?」 「す、すいません……」 「…キス、獄寺君からしてくれたら許してあげる」 「……えぇっ!!??」 「もちろん、ココ、にだよ?」 「っ!!い、今ですかっ…!?」 「当然!はい、どうぞ」 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ」 「先行くなー」 ー 授業中 ー 「コホンッ、獄寺何だその授業態度は」 「………………」 「獄寺!聞いているのか!?」 「ごちゃごちゃうっせぇんだよ!どうしようが俺の勝手だろうがっ!」 「〜〜〜〜っ!?獄寺っ、後で生徒指導室にーー…」 「獄寺君っ!!」 「っ!?」 「じゅ、十代目っ!?」 「先生に謝って!」 「えっ………」 「だってこのままだと獄寺君、放課後に生徒指導室に呼び出しだよ?俺そんなのやだよ!一時だって獄寺君と離れたくないっ!!」 「っっっ!!!???じゅうだいめっ…!」 「だから、ね?」 「はいっ!おう、悪かったな。これからはちゃんと聞いてやるよ、沢田さんに感謝しろよ」 「お…おぉう……?」 「ふふっ、ツナ君と獄寺君って仲良いよね!」 「………そうね…誰かに黙らせて欲しいわね」 ー 昼休み ー 「十代目っ!あーんです!」 「あーん」 「いかがですか!?」 「うん!獄寺君が食べさせてくれるだけで、いつもの何倍も美味しいよ!」 「じゅうだいめ…」 「それより、さ…俺、そろそろ腹ペコなんだけど…?」 「えっ…もうお弁当は無くなってしまいましたしっ……でしたら俺何か購買で買ってまいります!」 「違くて、もういい加減キミを食べたくて仕方ないんだけど?」 「…っ……あっ…じゅうだいめ…どうぞ、お召し上がり、ください……」 「ん、いただきます」 「ねぇなんなの、あの風紀を乱す目障りな万年発情期たちは。嬲り殺す」 「えっ!?嬲るんか!?咬み殺すんじゃなくてっ!?」 「咬み殺すだけじゃ生ぬるい」 「あー…」 ー 放課後 ー 「十代目、寒くないっすか?」 「んー…そうだね、ちょっと寒いかな」 「っ!あ、あの!でしたらですね、恐縮ながら俺の手で十代目のお手を暖めて差し上げたいのですがっ…」 「(ふふ、顔真っ赤にしちゃって、可愛い…)うん、お願い!」 「はいっ!おまかせ下さい!!」 「あれぇ?何か男同士で手繋いでる奴らがいんだけどぉ?」 「まぢだぁ、しかも誰かと思えば並盛中の獄寺さんじゃぁん」 「っ!?」 「あん?」 「ふはっ、何々、もしかして、あの天下の獄寺さんってぇ〜、ゲイな訳??」 「くくっ、しかもこんな冴えないパッとしない奴!」 「んなっ!?テメェ、十代目の事悪く言ってんじゃねぇっ!!」 「獄寺君、俺の事はいいから」 「で、ですが十代目っ…」 「相手にしてたらキリないよ、行こ?」 「シカトこくたぁ、いい度胸じゃないの、よっと!」 「っ!? 十代目っ!!!」 「えっ…獄寺君っ!?大丈夫!?」 「っつー…ちょっと口ん中切れただけっす、こんなの全然平気っすよ!」 「あれ、獄寺さんを殴るつもりは無かったんだけどなぁ、こいつ庇うから当たっちゃったぁ、ごめんね?」 「うはっ!なんかぁ俺たち、愛を見せつけられちゃったんじゃねぇ?」 「ははっ言えてる言えてる!」 「……ったな………」 「はぁ?」 「獄寺の綺麗な顔を殴ったな?」 「「……え…」」 「じゅ、十代目っ!?」 「この綺麗な顔に痕が残ったりしたらどう落とし前つけてくれる?言っておくが、おまえらのチンケな顔じゃ、どうやっても獄寺の一ミリ範囲の皮膚の足しにもならないからな」 「「え…あ、はいっ……」」 「獄寺、口の中の傷口を見せてみろ」 「十代、め…いつの間にハイパー化を……」 「いいから口を開けろ」 「あっ、はい!…れ、れすが、何を…」 「消毒をする」 「えっ!?んっ…ふ……はっ…」 「もっと口を開けろ」 「ふぁ…じゅ、じゅう…らい、め…」 「な、なぁ…」 「…なんだよ」 「……帰ろうぜ」 「……………おう」 ー 夜 ー 「獄寺君眠い?」 「いえ、全然眠くありません」 「ん、俺も。だって折角獄寺君が泊まりにきてくれてずっと一緒にいれるのに、寝ちゃったら勿体なくて」 「じゅうだいめ…」 「獄寺君が夢の中でも俺に会いにきてくれるんなら、問題ないんだけど?」 「…十代目のお望みとあらば、獄寺隼人、必ず夢の中でも貴方に会いに行きます」 「約束出来る?」 「はい、約束します」 「うん…なら誓いのキス、しながら眠ろっか」 「んっ……」 「これで獄寺君は寝ても覚めてもずっと俺と生涯を共にするんだからね?」 「ーっ……はいっ…」 「そんな事しなきゃ眠れねぇ様なら、オレが二人仲良く永遠におねんねさせてやる」 「ねぇ獄寺君、寒くない?」 「いえ!こんなん全然平気っす!」 「ふーん…じゃあいっか!」 「え?」 「折角獄寺君が寒いんだったら、俺なりの方法で暖めてあげようと思ったんだけどなー」 「っっっ!!!???」 「…………」 「じゅ…じゅう、だいめ…」 「ん?なぁに?」 「…さ………むい……です…」 「ははっ、可愛い…じゃあ暖めてあげるね」 「…お願いします」 「おい山本」 「どうした小僧?」 「"恋は盲目"とはよく言ったもんだな」 「ツナたちの事か?」 「あぁ、だがアイツらの場合、盲目になってんのは相手じゃなく周りだがな」 「ははっ!たしかになー」 |
end |