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 拍手2012/3月







「う゛ぅ〜…どうしよ〜…」

「何をそんなに唸っておるのだ?」



だんだんと風が暖かくなってきた3月。

オレは今、普段使わない頭をフル回転させてもなかなか答えが出ない悩みに直面している。
……正確に言うと、2月始めあたりから悩んでるんだけど…。



「…ホワイトデー……」

「! なるほど、隼人君にお返しするものでそんなに唸っていたのか」



…唸る唸るって、人を何かの猛獣みたいに……。

だいたい何で平然とオレの目の前にいるんですか。
思念体とかそういう設定ガン無視ですか。



「……ジョットさんは決まったんですか?Gさんにあげるもの」

「あぁ、イタリアにはホワイトデーたるものは無いからな。GとはSan Valentinoに存分と甘い夜を過ごしたぞ!」

「あっそうですか」



何そのどや顔!腹立つんですけど!

はぁ、ジョットさんに構ってる場合じゃない……ホワイトデーは間近に迫ってるんだ。

今まではホワイトデーに贈るもので悩んだ事なんて一度もなくて、むしろ一年前なんて、モテる友人二人に囲まれたダメツナなオレ、というなんとも切ない状況に悩んだりもしたっけかな…。

でも今年は、こんなオレにも気持ちを込めたチョコをくれて、オレもその気持ちにお返しが出来る大好きで大切な人がいる。

本当に嬉しくて幸せで、2ヶ月にも渡るこのイベントを、こんなに浮かれた気分で過ごすのは初めて……なんだけどっ!!!



「あぁもう!獄寺君に何あげたらいいんだよーーっ!!!」

「そんなに迷うものか?隼人君ならデーチモが選んだ物なら何でも喜ぶと思うが?」

「そうですけど〜……」



きっと…いや絶対、獄寺君はオレがあげた物ならなんでも喜んでくれると思う。
オレも実際、クッキーだとかハンカチだとか、当たり障りのない物を考えてた。

バレンタインまでは。



「…アレは反則だよなぁ」

「???」



獄寺君の事は知ってるつもりでいる。
料理だってさすが姉弟と言ったところか壊滅的だし、それにものすっごい照れ屋だ。

それなのにまさか……まさかあの獄寺君が手作りの、しかもあんな食べさせ方をしてくれるなんて…っ!!!



「あんな事されたら、オレだって…」



獄寺君がオレにくれたのと同じ位…それ以上に喜んで欲しいんだ。
オレだって獄寺君に伝えたい。



「でも手作りにしようにも獄寺君甘いのあんまり好きじゃないしなぁ…物をあげるにしてもオレあんまり金ないから大した物あげられないし…」

「…… !! なら、こんなのはどうだ?」



ジョットさんが何か閃いた様で、オレにちょいちょいと耳を貸せと訴えかけてくる。

正直、この人の閃き程当てにならないものはないけど、今はジョットさんの閃きも借りたい状況に、素直に耳を貸す事にする。



「……………!!! えっ、でもジョットさん、オレ…」

「どうだ?いい案だろう?まぁ、俺にまかせておけ!」

「…オレなんかに出来るかな…?」

「隼人君に喜んで欲しいのだろう?」

「っ!はい!オレ頑張ります!ジョットさんよろしくお願いします!!」

「あぁ、共に頑張ろう!」



ジョットさんの提案はオレには到底考えつかない様なものだったけど、うん…これなら獄寺君もきっと喜んでくれるっ!

あと14日間。
オレ精一杯頑張るから、待っててね獄寺君!








end 

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