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 拍手2011/Xmas







獄寺君と想いが通じてから約二週間が経つ。


リボーンという名の代償はすごく大きかったけど、今回ばかりはあいつに感謝してもしきれない。



「あ!獄寺君!」

「おはようございます!十代目!!」



だってクリスマスイヴという日に、恋人という名の獄寺君のこの笑顔を、独り占め出来るんだから。



「もう…今日は迎えはいいよって言ったのに…」

「すみません…ですが、一刻も早く十代目のお顔を見たかったものですから…」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!??????

な、ななな何この可愛い人っ!!!!
うっわ、すごい不意打ちっ!俺今絶対顔赤いよ……



「ど、どうかしましたか!?」

「…もう、獄寺君反則……」

「???」



さっぱりわかんない、といった風にキョトンとしている獄寺君がまた可愛くて、ほんと好きって気持ちは際限がないなぁ、なんて思う。



「なんでもない!それより早く行こ!!折角のクリスマスデートなんだからさ!」

「っっっ!! は、はい…」



でもやっぱり俺だけはずるいから、ちょっとした仕返し。

案の定真っ赤に染まった獄寺君を見て、幸せな気持ちになりながら俺たちは歩き出した。










「うわー、綺麗だねぇ」

「そうですね」



何をする訳でも無いけど、二人でフラフラ買い物をして、おいしいご飯を食べて、陽が傾き始めた頃、俺と獄寺君はクリスマスを象徴する大きなツリーのイルミネーションを見に来た。

去年もその前の年も、このクリスマスツリーは同じ様にここにあって、同じ様に輝いて、同じ様に綺麗だった筈なのに、今までで一番綺麗に見える。


去年までと同じ風景の中で唯一違う、隣にいる獄寺君を盗み見れば、イルミネーションの光が反射した白銀の髪に、この明るさでもわかる位透き通った白い肌に、ツリーの装飾なんかよりも綺麗に輝いている瞳の色。


獄寺君の方がよっぽど綺麗……


自分でもサムイな、とは思いつつ、どうしても獄寺君から目が逸らせない。

すると、



「十代目」

「ぅえっ!?え、あ、な、何!?」

「ツリーも綺麗ですが、十代目の方がよっぽど綺麗です」

「!!!!!」



そう笑う獄寺君はやっぱり綺麗で、どうしようもない気持ちになる。

獄寺君に触れたいな……

そう思って周りを見渡しても、カップルか家族連れが殆どで、男同士なんて一組もいない。

獄寺君を好きになって、つき合える様になって、後悔なんかこれっぽっちも無いけど、触れたい時に触れられないのは、やっぱり少し悔しい。



「獄寺君。ちょっと公園行かない?」

「? はい」



イヴという事もあってか、少し街並み外れた公園には思った通り、人の姿は無い。

だからすかさず隣を歩く獄寺君の手を握る。



「っっ!!! じゅ、十代目っ……」

「へへ、ずっと獄寺君に触れたかったんだ」



手を繋ぐのは初めてじゃないのに、未だに真っ赤になって緊張する君が可愛くて仕方がない。



「お……俺も、十代目にふ、触れたかったっす………」

「…うん」



あぁ、幸せだなぁ。
君が可愛くて大好きで愛しくて、苦しくなる。

"好き"って気持ちがこんなに苦しくて切なくてドロドロしてて、だけどその痛みすらも幸せな事だって、全部獄寺君が教えてくれたんだよ?

繋いだ手から俺の気持ちが全部伝わればいいのに。そう思いながらぎゅっとより一層繋ぐ手に力をいれる。



「…獄寺君て、いつも手がひんやりしてるよね」

「え、あっ!す、すいませんっ!!手、冷たいっすよね!」

「あ、ううん、そうじゃなくてね、」



うん、今が丁度いいかな。
俺は鞄の中からあるモノを取り出して獄寺君に差し出した。



「はい、クリスマスプレゼント」

「っ!!手袋……」



いつもどこか他の人より体温が低めの獄寺君の手がずっと気になってた。

ダイナマイトを扱うから傷だらけだけど、指が長くて綺麗で、何より俺に触れてくれる大好きな手。

本当は俺自身でずっと暖めてあげたいけど、そういう訳にもいかないから、せめて俺があげたモノで暖めて守れたらと思ったんだ。



「こんなモノでごめんね、ほんとはアクセサリーとかもっと気の利いたモノでもあげられればよかったんだけど…」

「そんな事ありません!! 十代目にこんな素晴らしいプレゼントを頂けるなんて、俺世界で一番の幸せ者っす!この手袋を十代目だと思って一生の宝物にします!!!」

「はは、ありがと。うん、俺だと思って使ってくれたら嬉しいな」



俺の勝手な気持ちを込めて選んじゃったプレゼントだけど、喜んでくれたみたいでよかった……



「あの、ですね…」

「ん?」

「その、俺も十代目に何か差し上げたくて一応用意したんすけど…」



そう言って獄寺君がくれた包みを開けてみると、



「マフラーだっ!」

「はい…俺も色々考えたんすけど、十代目の素晴らしさに相応するものがなかなか見つけられず…ならばせめて十代目を寒さから守れればと……」



相変わらずの盲目ぶりだけど、獄寺君が一生懸命俺の事を考えて選んでくれたんだ、嬉しくない訳がない。



「ありがとっ!すっごく嬉しい!!早速使っていい?」

「はいっ!!」



淡いオレンジと白の配色の少し長めなマフラーを首に巻けば、マフラーのおかげだけではない暖かさがじんわり広がってくる。



「すごい暖かい…どう?似合う?」

「はい!とってもお似合いです! あの、俺も十代目から頂いた手袋、使わせて頂いてもいいですか?」

「もちろん!」



そう答えると、獄寺君をイメージした、黒地に赤のラインが入っている手袋が彼の両手をすっぽり覆う。



「うん、俺のセンスだから少し不安だったけど、獄寺君に合ってる」

「十代目が俺の為に選んで下さったものが似合わない筈がないっす! めちゃくちゃあったかいです、十代目ありがとうございます!!」

「うんっ!俺の方こそありがとう!俺が手袋で獄寺君がマフラー。なんか俺たち似てるね!」

「そうっすね!」



お互いがお互いの為を思って贈ったもので暖め合える、そんな些細な事がすごく嬉しい。

……そうだ



「ね、獄寺君。君がくれたマフラーのお陰でもちろん暖かいけど、もっとあったかくなりたくない?」

「へ?」



獄寺君の返事を待たずに、すぐさまつけたばかりの手袋の片方を奪い取って、自分の片手にはめる。
かわりに少し背伸びをして俺のマフラーで獄寺君の首もとも一緒に巻いてあげる。



「じゅっ!十代目…っ!」



最後は手袋をはめていないお互いの手をぎゅっと繋ぐ。



「ね?これでさっきよりも暖かいでしょ?」



急に近くなった距離に少し照れくさいけど、この暖かさを知ったらもう手放せない。

手放せる訳がない。


十年前の俺たちにはきっと想像も出来ない様な温もりが、幸せがここにはある。


幼い獄寺君、あの時の約束を守るにはもう少し待っててね。

必ず君の時代の俺が迎えに行くから。

だから俺は、俺の時代の獄寺君を精一杯守る事を約束するよ。



「獄寺君、Merry Xmas。俺を好きになってくれてありがとう。大好きだよ」

「ーっ!! Merry Xmasです、十代目。俺も、大すき…です」



より温もりを求める様に獄寺君との距離を0にした。

何度も、何時までも。








end 

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