拍手2011/12月 |
『さっきの"綱吉さん"は、十年前の俺の事?』 最悪だっ…… やっぱり十代目に聞かれてた…… 『綱吉さん!!俺も貴方の事が、す、好きです!!』 ……十代目、驚いた顔されてた。 そりゃそうだ、部下、しかも男なんかにそんな事言われて、気色悪く無い筈がねぇ。 一生伝えられない、伝える気の無かった気持ちだった。 伝えて、十代目に気持ち悪がられたら、傍に置いて頂けなくなったら……いや、絶対にそうなる。 そんな事になったら、たぶん俺は生きていけねぇ。 あの人を守り、仕える事が俺の誇りで、存在意義だ。 それを失う位なら、俺のこんな浅ましい気持ちの一つや二つ、無い事にすんのなんてわけもねぇ。 その、筈だった。 それなのに、十年前の十代目が現れて、笑いながら俺に好意を向けて下さる姿を見てたら……我慢がきかなくなった。 幼い十代目になら気付かれないと思った。 この先吐き出す事の無い想いを伝えられる、唯一のチャンスだと思った。 「…………カッコ悪りぃ」 十代目を失うのが怖くて、幼い無垢な十代目に気持ちをぶつけた臆病な自分に、心底腹が立つ。 まさに自業自得ってやつか…… 「…っ…獄寺君っ!!!」 「ーーっ、じゅ、十代目…?」 微かに聞こえる俺を呼ぶ声に顔を向けると、数十メートル先に切らした息を整えていらっしゃる十代目の姿がある。 な……んで、十代目がここに…? 「はぁ、はぁ……やっと、追い付いた…」 「……す、すみませんっ!!俺はこれで失礼しますんでっ!!」 「えっ…、えぇっ!?」 ゆ、許して下さい十代目!! どんなツラ下げて会えばいいか、わかんないんです!! 「ちょ、ちょっと獄寺君!!」 「本当にすみません!!お話は明日聞くんでっ」 「……………俺はっ!!!」 ? 「俺はっ、獄寺君が好きですっ!!!!」 「……………………………え…」 ……………ええぇぇえぇぇ!!!??? 「あれ? 聞こえなかったかな? …俺はっ、獄寺君がす…」 「じゅ、じゅうだいめぇぇーー!!??」 ちょっ、え!?落ち着け俺!! と、取り敢えず叫ぶのをやめて頂くのが先決だっ!! 「じゅ、十代目っ!!な、何を……」 「だって、獄寺君が逃げるんだもん」 状況が把握しきれないまま十代目の元に走り寄ると、すごく不機嫌そうに頬を膨らませている。 「あの、十代目……」 「俺の気持ち、聞こえたよね? 俺は獄寺君を愛だとか恋だとか、そういう意味で好きなんだ」 「っっっ!!??」 ……は……んだコレ…幻聴か? だってありえねぇ……十代、め…が、俺……を………? 「ずっと好きだった。だけどほら、俺ダメツナだからさ、告白して獄寺君と今までの関係が壊れるのが怖かったんだ」 「……………十代目、は…ダメじゃ、ありません…」 「ははっ、そう言ってくれるの獄寺君だけだよ」 何言ってんだ俺っ!! 確かに十代目はダメじゃないから否定はしねぇとだが、今はもっと別に言う事があんだろ…!! 「でも、ね…十年前に行って十年前の獄寺君に会ったら、やっぱりこのままじゃ嫌だって思ったんだ」 「…………」 「十年前の獄寺君、すごく可愛くてさ、たった五分しか会ってないのにすごい懐いてくれて、笑ってくれて」 「………………可愛くないっす…」 「ぷっ…獄寺君、さっきから変なとこばっかり反応するね」 ……あぁー…今なら馬鹿って言葉はあいつより俺の方がお似合いだな… 「獄寺君いっぱい笑ってて幸せそうだった」 「……………」 「俺は獄寺君の家の事情とか詳しく知らないし、どんな気持ちでそこから生きてきたのか想像出来ないけど……でも、やっぱり獄寺君にはずっと変わらず笑ってて欲しいって思ったんだ。俺が傍にいて守りたいって思ったんだ」 「……………」 他人の事なのに…それなのに十代目はご自分の心を痛める。本当にお優しい方で、そこがやっぱり十代目ってお人だ。 「俺ね、約束したんだ。また必ず会えるって。…十年前の獄寺君に会えるのは"俺"じゃないけど、十年前の獄寺君は十年前の俺に傍にいてもらう。」 「………………」 「だから、今の獄寺君は今の俺が傍にいたい。獄寺君の嬉しい事も悲しい事も全部共有したい」 「じゅうだいめ……」 「ははは、なんか言いたい事まとまらなくてぐちゃぐちゃになっちゃった。とにかく、俺は獄寺君が好きです。俺と付き合って下さい!」 ……懐が広くて、お優しくて、強くて、こんな俺なんかを好きだと言って下さって。 質素な言葉じゃ表しきれない程、十代目は素晴らしい方だ。 ボンゴレ十代目として、これほどに相応しい人はいねぇ。 ………だから… 「……………すみません」 「ーっ………………うん…」 俺なんかが潰しちゃいけねぇ。 汚しちゃいけねぇんだ。 元々、伝える気のなかった気持ちなんだ。十代目が好きだと仰って下さっただけで、十分だ。 それだけで、俺は生きていける。 ……そう思うのに 「……俺、も…貴方が、好きです…」 「っっっ!! 獄寺君っ!!」 こんな言葉しかでてこない俺を許して下さい。 「やっとくっついたか」 「リボーンさん、もしかして私に十年バズーカ改造の以来をされたのって…」 「あぁ、ツナはてんでダメツナだし、獄寺はごちゃごちゃ考えてて、端から見ててウゼーからな」 「私、感動しました!!リボーンさんがそんなにお二人の事を考えていらしたなんて!!」 「あ?何言ってんだ。これであいつらは俺に頭が上がんねーだろ。思う存分コキ使ってやる」 「………………」 「ジャンニーニ、後で十年バズーカ元に戻しとけよ」 「……………はい」 |
end |