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 拍手2011/11月









「…え…えーと……た、ただいま…」

「お、おかえりなさい……」










「………………」

「………………」



き…気まずいっっ!!!!!!

な、何か会話!会話しないと…!!



「え、えっとさ…俺、十年バズーカで撃たれただろ?だけど何でか、十年前に行ってたみたいなんだ」

「え?」

「しかもさ、そこで十年前の君に逢ったんだよ!!」



光を反射する銀糸の様な髪、まるで宝石みたいな綺麗な瞳、雰囲気は多少違ったけれど俺だけに見せる、あの人懐っこい笑顔。
あの子は間違いなく獄寺君だった。



「っっ!!実は俺の方にも、さっきまで十年前の十代目が此処にいらっしゃってたんすよ!!」



…やっぱりこの世界に来てたのは十年前の俺だったんだ…。



「十年前でもさすが十代目!!可愛らしさの中にも渋さが滲み出てたっす!!」

「いや、それはないから。というか、何かそれやだ…」



さっきの気まずさなんて嘘の様に、すっかり元の調子を戻した獄寺君は興奮気味に十年前の俺について語ってる。


確かに、俺が十年前に飛ばされてたんだから、十年前の自分と入れ替わっていても何もおかしくないんだけど…。


問題は、何で俺が"十年前の獄寺君"に逢えたか、だよなぁ…。


ん……?
俺が十年前に行って、十年前の俺が此処にいて……



「…じゃあ、やっぱりさっきの"綱吉さん"は、十年前の俺の、事?」

「え……あっ………」



う…うわぁ……
獄寺君、顔が真っ赤になっちゃってるよ…可愛いなぁ……じゃなくて!!
もっと大事な事があるだろ!!




『綱吉さんっ!!俺も貴方の事が、す、好きです!!』




"つなさん"が十年前の俺の事を指してるなら、あの言葉は間違いなく俺に向けられた言葉だ。

ただあくまでも"俺"じゃなくて"十年前の俺"に対しての言葉だし、きっと深い意味なんて無くて、純粋なそのままの意味なんだろうな…。


けど、聞きたい。
それは誰に対して??
どういう意味で言ったの??


確率は低いってわかってても、獄寺君の赤い顔に、ぎこちない態度に、俺の疚しい気持ちが変な期待を抱いちゃうよ。



「ご、獄寺君!!あのっ…」

「っ十代目っっっ!!!!」

「ぅわっあ、は、はいっ!!」



びび、びっくりした!!
獄寺君急に立ち上がるんだもん…っ。



「す、すみません!俺、用事を思い出しちまいましてっ…で、ですから、その…お勉強会はまた今度でお願いします!!失礼しましたっっ!!」

「えっっ!?ちょ、獄寺君っ!?」



そう叫ぶなり、俺の返事を待たずに獄寺君は部屋を出て行ってしまった。



「…………」

「何呆けてんだダメツナ」

「り、リボーンっ!?」



振り向けば俺のベッドの上にはちゃっかり世界最強の殺し屋が居た。つか、いつの間にっ!?



「さっきから居たぞ。そんな事にも気付かねーなんて、さすがダメツナだな」

「…………」



だから人の心を読むなよ…。



「それより、獄寺を追わなくていいのか?」

「…え?」

「十年前の獄寺に会ったんだろ」

「っっっ!?何でリボーンが知ってんの!?ほんと、いつから居たんだよ!!」

「だからさっきからって言ったじゃねぇか」



確かに言ってたけども!!
なんでこいつ気配がしないんだよ…。



「んで、会っただけか?」

「え?」



何だ?どういう意味??リボーンの言おうとしてる事が全くわからない。



「おまえは十年前の獄寺に会って、ただ喋り散らしてただけか?」



…っ!!……違う…俺は……十年前の獄寺君に逢って、約束、したんだ…。

いつか必ず会えるって。

願ったんだ。

想いを伝えられる様にって。

そして誓ったんだ。

これから先、どんなカタチであれ、君を一人にしないって。



「いい加減男みせろダメツナ」

「っうん、ありがとう!!リボーン」



確かにボスと右腕という関係でも、傍にいられるかもしれない。

でも違うんだ。

俺が望むのはボスだとか右腕だとか友達だとか、そういうんじゃなくて、もっと特別な関係。

君が幸せな時も悲しい時も隣にいたい。全てを共有したい。

幼い君が見せたあの笑顔を、俺だけがずっと守っていきたい。


幼い君に勝手に誓った俺なりの想い。

だけど俺の願いも誓いも一人では実現出来ない事だから、今から伝えに行くよ。


覚悟しててね、獄寺君。











end 

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