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 拍手2011/9月








「ねーね、おにぃちゃんだぁれ?」

「お、お兄っ!?」







何なんだこのお可愛いらしい生き物は。


"食べてしまいたい"


世の気持ちわりぃ奴らが可愛い生き物に会った時に吐く台詞。


今なら心底わかる気がする。


このなんとも云えない衝動をどうにか抑え、今目の前にいる小さな子供に向き直る。



「えと、十代目?俺は獄寺隼人と申します。」

「じゅうだいめってなにー?つなはつなだよ!」



あぁ!!やめて下さい十代目!!
ご自分の事を"つな"と仰るなんて!!!
俺をどうなさるおつもりですか!!









今目の前にいるお方は正真正銘、俺の最もお慕いする十代目その人だ。

ただ、齢は恐らく4歳の。



ほんの1、2分前まで十代目のお宅にお邪魔して宿題をしていたところ、例によってあのアホ牛が十代目の邪魔をしにきやがったから果たしてやると、また例によって十年バズーカを持ち出しやがって今に至る。


だが今俺の目の前にいるのは十年後の十代目とは明らかに年齢が違う。


十年バズーカには十代目が当たったと思ったが実は俺で、十年後に来てしまい、たまたま目の前に見ず知らずの子供が居た。


とも思ったのだが、辺りを見回しても此処は十代目のお部屋だし、何よりどんなお姿になっていようとこの俺が十代目を見間違うなんてある訳がない。


ならやはり十年バズーカに当たったのは十代目なのだろう。


しかもどういった訳か十年前の十代目と入れ替わりで。


でなければまだ出逢ってもいない十年前の十代目に、俺がお会い出来る筈もない。




十代目はご無事だろうか。
まだマフィアのマの字も知らない時代にいらっしゃる筈だから、命に関わる様な事はないと思うが…


「ねー!はやにぃちゃ!つなにかまって!!」

「っ!!は、はやっ!?」



思考のループに落ちているとなんともお可愛らしい事を言いながら俺の服の裾を引っ張る天使が一人。

やべぇ天使ってなんだ、天使って。

確かに十代目は天使の様にお可愛らしいがこの思考はやばいだろ。

後ろめたい考えを振り払う。



「はやにぃちゃどうしたの?頭痛いの?」

「えっいえ!そんな事ないですよ」


こんな幼い十代目にまでご心配をかけてしまった…。
安心させる様に笑いかけると十代目はふにゃと花が綻ぶ様に笑った。



「はやにぃちゃキレイだねぇ」

「…ぅえっ!?」



き、綺麗!?



「うん!お顔とかーこの髪もキラキラしてて、とってもキレイ!!」



そう言いながら十代目が俺の髪に触れる。


や、やばい。
心臓が張り裂けそうだ。

真っ赤であろう顔を隠す事も出来ずにただただ固まる事しか出来ない。



「はやにぃちゃお顔真っ赤だよ!お熱あるの?」



表情を少し曇らせて十代目が俺の顔を覗き見る。

あぁ、また。



「いえ、大丈夫ですよ。じゅう…つ、つな…綱吉さんはお優しいですね」



恐る恐るそのふわふわな茶色の髪を撫でさせて頂く。


すると十代目はまたとても嬉しそうに笑って下さった。



「えへへ。つなねー、はやにぃちゃだいすき!キラキラだし、はやにぃちゃもやさしいもん!」

「っっっ!?」



い、今なら言えるだろうか。
この幼い十代目の"好き"の意味が純粋な好意だというのはわかってる。


でもだからこそ、十代目の意味に便乗して伝えても許されるだろうか。




貴方に対する想いを…。








「綱吉さん!お、俺も貴方の事が、す、好きです!!!!」





















「…え…獄寺君、今何て…」









end 

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