イクスチェンジ!? 02 |
「そんな訳で、デーチモの嵐の守護者になったGだ。まぁよろしく頼む」 「…………はぁ…」 朝一番Gさんに守護者と部下、全員集めろと言われ、何事かと思えば……。 「これから隼人に回してた仕事は全て俺に寄越せ。後、隼人の部下は今日から俺の管轄下だ」 「……………………」 「…返事は?」 「っは、はいぃっ!!!!」 あぁ、隼人の部下の人達怯えちゃってるよ…。 「ちょ、おい、ツナ!!」 「ん?なに山本」 「これ、どういう事だ?」 「…そんなの、俺が一番聞きたい」 例の痴話喧嘩から一日。 朝起きたら全て夢でした、なんて素敵なオチはある筈もなく、今に至る訳で…。 「もう、俺…ボスやめたい…」 「ツナも大変なのな…」 うんうんと感慨深そうに俺の肩を叩く山本。 そんな慰めいらないからこの状況をどうにかしてくれと切に思う。 「おら、デーチモ。皆への挨拶は終わったから仕事に戻るぞ。どうせ溜まりまくってんだろ」 「……はい」 穏やかな昼下がりの午後。 いつもと変わらない書類の数に俺のやる気の無さ。 ただ一つ変わっているのは、今俺の隣にいる人は最愛の人では無く、似ているけども全く別の人物。 「はぁぁあ〜……」 「何溜め息なんて吐いてんだ?」 それ、本気で聞いてます?? 確かに悪いのはジョットさんですよ、間違いなく。 だけどさ、だからって俺達まで巻き込まないでほしい。 痴話喧嘩は犬も食わないって云うけど、逆に噛みつかれた気分だよ…。 「辛気くせぇ顔してねぇでさっさと仕事しろ。ほら、この書類も目通しといたから後はおまえの承諾印だけだ」 「あ、はい。有り難う御座います」 実際、朝公言した通りGさんは隼人がやっていた仕事を難なくこなしている。 この仕事量を諸ともしないスムーズな身のこなしだ。 やっぱり俺と同じで、ジョットさんも右腕の彼に頼りっぱなしだったのだろうか… …よし、全て元通りになったら真面目に仕事して、少しでも隼人の負担を減らそう。 そう決意をしていたら、ふとGさんと目が合った。 「…なぁ〜に見てんだよ。俺に惚れたか?」 「んなっ!?」 な、何言っちゃってんのこの人!! 確かに綺麗だけど!! その真っ赤な髪と刺青が白い肌に映えて……ってそうじゃなくて!! 「俺は別にいいんだぜ?隼人には黙っててやるよ」 「い、いいいえ!!!結構ですっ!!てか近付いて来ないで下さい!!!」 ちょっ、ほんと、そんな妖艶な顔して何俺の膝に乗ってきてんのっ!!?? 「ちょっとGさん!!ほんとにやめ…」 「失礼致します。じゅうだい…め…」 …えっ……… 聞き慣れた声に扉の方を振り向けば、先程まで想いを馳せていた隼人の姿があった。 ちょ、ちょちょちょっと待って!!! やばい、これはやばい!!! と、取り敢えず全力で誤解だと説明しないとっ!!! 「は、はや…」 「お取り込み中失礼致しました」 その声と共に執務室の扉は無情にも閉められた。 ……隼人、笑ってたな…。 これは一週間口きいてもらえないコース決定だ…。 もう泣きたい。本気で泣きたい。 何でこんな事に… 「悪い悪い、隼人に見つかっちまったな」 「…………」 この人絶対わざとだよ。 そんなニヤニヤした顔で謝られても、これっぽっちも誠意が感じられない。 「はぁ…もういいですから、取り敢えずどいて下さ…」 「デーチモっっっ!!!!!!」 「っ!?」 いきなりの叫び声にびっくりして再度扉の方に目をやると、今度は息を切らしたジョットさんが立っていた。 ……もう、やだ…。 「デーチモ!!は、隼人君という者がありながらっ!!Gから離れろ!!」 …俺からくっついてる様に見えるんですか?? 貴方の目は節穴ですか?? まぁでもこれで、漸くGさんと離れられる。そしたら死ぬ気で隼人を追いかけて死ぬ気で誤解を解こう。 「ほら、Gさんどいて下さい」 そう押し返すもGさんはビクともしない。むしろ、より密着度があがる。 「ちょっと、Gさん?」 「Gっ!!!」 「うっせぇよジョット。俺は今デーチモとお楽しみ中なんだ、さっさと出てけ」 ええぇぇえぇ!!?? いつもは何だかんだジョットさんに従うGさんがまさかの反抗期!? つか俺もしかしてこのままっ!!?? 「G、早くデーチモから離れるんだ」 「何でてめぇに指図されなきゃなんねぇんだ、もう関係ねぇだろ」 「なっ!!」 俺の心配を余所に、くっついたままのGさんとジョットさんは延々と口論をしている。 だからさ、いいんだよ、喧嘩しようが何しようが。 でもお願いだから巻き込まないで…本当にお願いします。 心底げんなりしていると、扉の前で佇んでいる隼人を見つけた。 「隼人っ!!」 「…………」 「はや…と…?」 「…どちら様ですか?」 この日も俺は泣いた。 もう場所だとか立場だとか男だとか、そんなの関係なく感情のままに本気で泣いた。 |
end |