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 イクスチェンジ!?








すりすりすりすり




「…………」



さわさわさわさわ



「………っ」



ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう



「お、おい!くっつきすぎだぞっ!!」

「はってめーには関係ねぇだろ!」

「関係大アリだ!いい加減離れろ!」

「何で関係あんだよ!もうてめぇと俺は無関係だろ」

「んなっ!!??」

「………」

「ちょ、もう2人共勘弁して下さい…」



















穏やかな昼下がりの午後。
やれどもやれども減らない大量な書類には心底げんなりするけど、いつもの様に当たり前に隼人が隣にいる事に幸せを感じていた時、彼はやってきた。



「隼人くんっ!!!!」

「…え、ジョ、ジョットさん!?」



勢いよく執務室の扉を放ち入ってきたのは初代ボンゴレのボス、プリーモことジョットさんだった。


十年前に継承を受けてから度々リングから出てきてはいたが、俺がボスに就任してからはより頻繁に姿を見せる様になった。
主にジョットさんとGさんだけだけど。



「隼人くん!!会いたかったぞ!!」

「しょ、初代様??」

「ちょっっ!!!」



仕事中にズカズカと入室してきたジョットさんは事もあろうに隼人に抱きついた。



「何してんですかジョットさん!!今すぐ隼人から離れて下さい!!」

「ふん、心が狭いぞデーチモ。いいでは無いか、減る物でもないだろう」

「減ります!!俺の中の隼人パラメーターが存分に減ります!!」

「…デーチモ」



何憐れんだ目で見てるんですか。
どうでもいいから早く隼人から離れて下さいよ。



「隼人くんはいいな。素直な良い子で可愛いし!うちのGなんか…」

「初代様、Gの奴と喧嘩でもされたんですか?」

「聞いてくれるか!隼人くん!!」

「ちょっと!なんでもいいから兎に角隼人から離れて下さい!!!」



ブツブツ俺への文句を垂れているジョットさんを全シカトして漸く隼人を俺の元へ救い出す。



「それでだな!隼人くん!!」

「は、はい!」

「はぁ…」



それからジョットさんは一度も口を閉じる事なく十分間、延々とGさんに対する不満なんだか惚気なんだかを喋り続けた。



「は〜隼人くんはこんなに素直だと言うのに、うちのGときたら…今からでも遅くない!隼人くん、俺の嵐の守護者にならないか!」



ブチッ

なぁにを言ってるんだこのおじいちゃんは!!!!
何もかもが遅すぎるに決まってるだろ!!何、俺の隼人に死ねって言ってんの?しかもまたちゃっかり腰に手回してるし!!!!


死ぬ気丸無しにハイパー化する程の勢いで二人の間に割って入ろうとした俺を止めたのは、酷く冷静で底冷えする様な冷たい男の声だった。



「ほ〜う?そりゃあ良い。これで俺も我が儘ボスのお守りから解放されるって事か?」



声を発しただけで五月蠅かったジョットさんを硬直させたその人物は、紛れもない初代ボンゴレボスの嵐の守護者、Gさんだった。



「つー訳だ、隼人。俺はこれからデーチモの嵐の守護者になっから。お前はそっちな」

「はぁっ!?」

「仕方ねぇだろ?なんてったって初代ボンゴレボス様たっての願いなんだから」



え……ちょっと待って。本気?

チラッとGさんを伺い見ると、とても冗談を言っている様には見えない。

むしろ異論さえも唱えさせない雰囲気を醸し出している。



ねぇ、何で?俺が何したの??
ほんの数十分前までは書類が山積みで、けど隼人がいて、いつも通りの穏やかな時間が流れていたのに…。


隼人を見ればトレードマークの眉間の皺をより一層深くしてため息を吐いている。



こんな事になった元凶を睨みつけると、先程と何ら変わらず青い顔のまま硬直継続中。


全て自業自得なので同情なんてしてやらない。むしろ俺の平穏な日々をぶち壊しにした事を謝って頂きたい。


ジョットさんを睨んでいると、Gさんが目以外のパーツを綻ばせて俺に言った。




「これからよろしくな、俺のボス、デーチモ」




この日、俺は久しぶりに泣いた。








end 

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