Act.2 |
自分で言うのもなんだけど、 勉強はダメ。 運動もダメ。 何をやらせてもダメダメで、ダメツナなんてあだ名がついてる始末。 でもそれを除けばごくごく普通の中学二年生だ。 黒いスーツを身に纏い、底が見えない漆黒の瞳を携えた、 「ちゃおっス!」 赤ん坊が現れるまでは ― 。 「おいダメツナ、そこはそうじゃねぇって何度言やぁわかるんだ?」 「ひぃっ!?す、すみません…」 「はぁ、こんなんじゃ立派なボンゴレ社の社長になるなんて夢のまた夢だぞ」 「だから、社長なんかになる気は無いって…」 「なんか言ったか?」 「………何でもありません」 いきなり現れてちゃっかり一緒に生活なんてしちゃってるこいつはリボーンという名前で、本人曰く世界的に有名な家庭教師らしい。 赤ん坊がなんの冗談だ、なんて最初は思ってたんだけど、冗談じゃないって事はすぐに嫌と言う程思い知らされた。 とにかく怖い。 しかも、その世界的に有名なコイツはわざわざオレをボンゴレ社の社長に育て上げる為に日本へ来たらしい。 ボンゴレの名前位はダメツナなオレだって知ってる。 オレを育ててくれてるティモッテオさんが現ボンゴレ社の社長だって事も、リボーンから聞いて今は知ってる。 でもだからってオレが十代目社長になるなんて、到底無理な話しだ。 そもそもそんなものに興味だって無いし。 ティモッテオさんには悪いけど、ある程度適当にリボーンの教育を受けてなあなあにしよう。 と思ってたのに…… 「入ってきなさい」 「し、失礼します…… っ!!!」 息が止まる程の衝撃だった。 彼と目が合った瞬間、かの有名な怪物にでも会ったかの如く身動きがとれなくなった。 一目惚れ、だった。 同じ男だけど、オレより一回り位年上だけど、そんなのは考えもつかなかった。 ただ彼を知りたい。 キラキラと輝く銀色の髪、透き通る様な白い肌、宝石でも埋まっているんではないかと見紛う程綺麗なエメラルドグリーンの瞳、ハスキーだけど艶のある声。 こんな目や耳だけで感じられるモノじゃなくて、もっともっと全て。 もうそれしか考えられなかったんだ。 「ほう?漸く十代目社長になる決心がついたか、ダメツナ」 「ま、まぁね」 「……まぁとても褒められた動機じゃねぇみたいだがな?」 「ーっ!?」 コイツ本当にただの家庭教師か?って疑わずにはいられない位、リボーンには全てお見通しだ。 ボンゴレとか社長とか、今でも実感湧かないし、正直なりたいとは思わない。 でもオレは決めたんだ。 「失礼致します。獄寺です」 「獄寺さんっ!」 彼を独占出来る特権を手に入れられるなら、社長にだって死ぬ気でなってみせる。 |
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