おちた |
「ツナくーん!そのボール取ってもらえるかな?」 「京子ちゃん!?っと、はいっ!」 こんなジワジワと暑い中外でサッカーの授業だなんてほんと憂鬱だったけど、お陰で京子ちゃんと話せたしちょっとラッキー。 「ツナ君ありがとうね!それじゃあサッカー頑張ってね!」 「うん、京子ちゃんも頑張ってね!」 京子ちゃん可愛いな。いつも笑顔だし、優しいし、 「じゅうだいめー!!!」 「!?」 「見てて下さい!俺十代目の為にたくさんゴール入れてみせますね!」 「あはは、頑張って」 獄寺君元気だなー… そういえば獄寺君もいつも笑ってるよなぁ。主にオレにだけだけど。他の人には怒った顔ばっかりなのに、でもなんかそれが余計にかわ……… 「………………………あれ?」 かわ………なんだ!? オレ今何言おうとした!? かわ何!? いやいやいや、あれだ。なんか自分にだけにしか懐かないペット的な…いや、決してペットだと思ってる訳じゃないんだけど、そういう感覚というかなんというか… 「十代目?」 「っぅわあ!?」 び、びびびっくりした…! さっきまでコートの中に居たのに、いつの間に!? 「十代目具合でも悪いんすか?保健室行きます?」 「う、ううん!全然平気だよ!」 「そうっすか?」 「獄寺ぁー早く来いー!」 「ほ、ほら獄寺君呼んでるよ!オレは大丈夫だからさ!」 「チッ、あいつらうっせーな。では十代目、無理はしないで下さいね?」 「うん、ありがとう」 「はいっ!ではいってきます!」 ……はぁ…。 全く、獄寺君はオレの事よく見てるよなぁ。普通あんな所に居たら気付かないよ。 …でも、そうやってどんな些細な事でも気にしてくれて、オレの事気遣ってくれる獄寺君は本当にやさし………… や、優しいなんて別に普通の感情だよね!?山本だってお兄さんだって…決して変な意味とかじゃなくて、友達!友達として! そうだ!そうに違いない!というかそれ以外ある訳ないし! 「はぁ〜〜…」 駄目だ…。今日はオレなんか頭おかしい…。考えない様にすればする程、 「十代目!帰りましょう!」 「…うん」 獄寺君の事ばっか考えちゃう。 なんでだろ? そりゃ、最初は獄寺君が怖くて色々口に出来ないで思ってた部分もあったし、何をしでかすかわからなくていつもハラハラしてたけど、今は獄寺君の事もわかってきてだんだん友達みたいになれてきたし、特に心配する事もなくなってきたのに。 それなのに今は獄寺君が誰かと話してるとハラハラというよりズキズキというかムカムカというか……あれ、獄寺君と友達の仲に進展したと思ってたのにもしかして後退してる?じゃなきゃムカムカしたり嫌な思いする訳ないのに…って、また獄寺君の事考えてるよ…。 「おい沢田!獄寺!」 「あ?」 「じゃじゃーん!これを見よ!オヤジの部屋からパクってきたグラビア雑誌!なぁなぁおまえらどの子が好み?」 うわっ…水着のお姉さんたちがいっぱい……確かにみんな可愛い…けどなんだろ、獄寺君の方が肌白くて綺麗だし、髪だって獄寺君のはこの人みたく染めたりしなくても天然であの色だし……………って、だから!どうして!この人たちと獄寺君と比べてるんだよぉおお!!! 「……アホくさ」 「アホとはなんだアホとは!獄寺は巨乳美女とか好きじゃねぇのかよ〜」 「俺が好きなのは十代目ただお一人だけだっ!」 「 ! 」 ー 好き ー 「さ、十代目!こんなアホほっといてさっさと…って十代目!?」 「え…?」 「どうしたんすか!?顔、真っ赤っすよっ!?」 「ーーっ……」 うわぁ…参ったな… 今回はどうしたって誤魔化せないよ。 「ちょ、テメェ!純粋な十代目にこんな卑猥なモン見せやがって!十代目が汚れたりしたらどうしてくれんだ!?」 「ひ、ひわ…汚れ!?」 獄寺君の事を考えちゃうのも、この雑誌に載ってる女の人達と比べちゃうのも、ズキズキムカムカするのも、 「ったく、だいたい十代目がこんな下品な奴ら好きな訳ないだろうが!ね、十代目?」 「………好き、なんだ」 「えっ………」 全部全部獄寺君が 「好きだからなんだ」 オチたと、認めた瞬間今までの感情が全て想いになって、オレの中にストンと落ちた。 「えっえっ?じゅうだいめ?」 「なんだよやっぱ沢田は好きなんじゃねぇかよー!おまえ案外ムッツリだな!」 「え?」 「す、すいません!じゅ、十代目がお好きだとも知らず卑猥や下品などと…!」 「え?ちょ、」 「それで?おまえはどの子が好きなんだよ?」 「い、意外と十代目は大胆な人がお好きなんすね!やはりボスになるべくして生まれた方は器がちが…」 「ちょっ、な、何の話ーーー!?」 |
end |