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  今年も二人で








『さぁ、今年もあと残り僅か10秒となりました!』




『5!』


『4!』


『3!』


『2!』


『1!』



プルルルルルッー…



「はいっ!もしもしっ!」

「ぅえっ!? あ、じゅ…十代目っ!」

「あははっ!何でキミから電話してきたのに驚いてるんだよ!」

「え、あ…す、すみません!こんな時間に電話しちまってっ…」

「ううん!そんな事全然気にしないで!キミから電話がかかってこなかったら、俺からしようと思ってたし!」

「十代目っ…!」



2012年1月1日。

今この瞬間に新しい年が明けた。

こうして新年を迎えて真っ先に獄寺君の声が聞けて、そしてたぶんキミにとっても俺が最初で、そんなちっちゃな事がすごく嬉しい。

そしてそれは、獄寺君もおんなじ気持ちなんだと思う。

だってあのジャストタイミングな電話。
きっと年が明ける数分前から携帯目の前にソワソワしてたんだろうなぁ。
それとも電話しようかどうしようか、ずっと悩んでたのかな?

どっちも容易に想像出来る…可愛い。



「昨年はお世話になりました。いっぱい迷惑かけちゃってごめんね?」

「い、いえ!迷惑だなんて事、微塵も思った事ないっす!」

「ははっ、ありがと!昨年は色々な事があったけど、俺にとって忘れられない大事な年になったよ」



突然世界最強のヒットマンが現れて、何にもなかった平々凡々な生活が一変して、痛い事や苦しい事、悲しい事とかたくさんあって……でも今まで一人だった俺にかけがえのない仲間が出来て……

なにより



「 ? 何か良い事でもあったんすか?」

「うん、獄寺君に逢えた」

「っっっ!!!」



転入してきてすぐに俺の命を狙ってきて、何がなんだかわからないうちに和解出来たと思ったら、今度は異常なまでの忠誠心にほとほと困らされたっけな…。


でもだんだんと俺にしかしない態度だとか、俺にしか見せない笑顔だとかに心地よくなってきて、それが他の人に向けられるとどうしようもなくイライラした。


これが好きって気持ちだと気付いたのはいつ頃だっけ。

いつ好きになったのかもわからない程自然に、俺には獄寺君しかみえなくなってた。


本当に嵐の様な人だと思う。



「獄寺君に逢えて、想いが通じ合って、俺、今本当に幸せなんだ」

「じゅうだいめ……」

「昨年があって今の俺たちがある。だから俺にとってはすごく大事な年!わかってくれた?」

「じゅっ…じゅうらいめ゛ぇ〜…」

「もう、何泣いてるんだよ」



ちょっと空回りする事もあるし実は天然だけど、頑張り屋で真っ直ぐで、怒りっぽいけど本当は繊細で、獄寺君の事を知っていく度にもっと好きになる。



「おっ…俺も……じゅうらいめにお会いできてっ…おそばにいさせて、いただける事がっ……何よりの、幸せ…ですっ……!」

「うん…」

「だからっ…!昨年は、俺にとっても…大事ですっ!」

「うん…ありがとう獄寺君」



キミがいてくれたら俺は前を向ける。
キミがいてくれるから、昨年も今年も俺にとって大事な年になるんだ。



「獄寺君、遅くなったけど明けましておめでとう!」

「はいっ!!明けましておめでとうございます、十代目っ!」

「今年も俺の事、よろしくね?また二人で大事な年を築いていこうね!」

「もちろんです!今年も十代目となら必ず大事な年になる事間違いないっす!!俺こそよろしくお願いしますっ!」



こうしてまた俺たちの未来が始まっていく。























ー 後日 ー



「あの、十代目」

「ん?なぁに?」

「俺たちは、その…姫始め……しないんすか?」

「ブッッッ!!!ちょっ…な、何急にっ!!」

「え、あ…すみません!」

「い、いや…別にいいんだけどさ…」

「その、Gの奴から初代様としたと聞いたので…」

「………獄寺君…姫始めの意味、わかってる?」

「内容まではわかんないんすけど、愛し合う者同士が元旦に行う風習だというのは知ってますっ!」

「……ちょっと違うんだけど…………獄寺君、俺としたい?」

「っ!はいっ!!」

「なら今日の放課後、獄寺君家に行ってもいいかな?」

「家でやる事なんすね!勿論です!」

「……言っとくけど、もう訂正はきかないからね?」

「 ??? はいっ!楽しみっすね、十代目!」

「うん、誘ったのは獄寺君だからね?逃がしてあげないよ?」

「??? はい……???」









end 

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