01

大学のオープンキャンパスの案内役手伝ってくれ、と準備期間中から駆り出されくたくたな日が続く。
高校の後輩にお前のファンたくさんいるだろ、目も引くし!とごり押しされた飲まれたものを断れないままボーダーの仕事も重なってあまり寝れていない。
梅雨に入って気持ちが悪いのに、そこにさらに生理まで重なってしまい、正直しんどい。

自宅で起きたとき、頭痛と吐き気がやばかった。
今日は防衛任務もあるというのに、トリオン体に換装するためのトリガーすら握れない。ここ数年で一番ひどい生理痛だった。

隊員各員と忍田さんに体調不良で防衛任務ができそうにないことを伝え、大学は自主休講だ。
オープンキャンパスのミーティングがあった気がするが、行けないとだけ送っておかねば。
あぁ、すごいしんどい。むり、と落とすように意識がなくなった。



次に起きたときぼんやりとした意識の中で美味しそうなにおいがして自然と足が動いた。
キッチンに行けばそこには慶がいて、こっちに気づいておはよ、と言ってきた。

「いや、なんで慶がいるの」

合鍵とオートロックの解除キーを以前渡した気がしたが、こうして入ってきたのは初めてだった気がする。
仮にも彼女がいる身で、彼女以外の女の部屋に上がり込むとはなかなかだ。

「忍田さんに様子がおかしいから見て来いって言われて来たんだよ。
冷蔵庫適当にあさったけど平気か?」
「うどん・・・」
「なんだよ、一応食べれる味だぞ」

ダイニングテーブルに置かれたあたたかいうどんにはネギだけが乗っていて、出汁のいい香りがした。
それに加え暖かいお茶まで出してきた。

「慶が優しい、意外」
「俺はいつでも優しいだろ」

生理痛の薬まで置いておく徹底ぶりにこれを彼女の前で発揮しろとよ、と思いながらうどんをすすった。
今日の防衛任務か風間隊が変わってくれたらしく、後日風間隊にお礼と菓子折りを持っていこうと決めつつ人心地ついて息を吐き出した。

「ありがと、助かった」
「おう、もう平気か?まだいたほうがいいか?」

弱ってるときにこれはずるいだろ、と思いながら大丈夫、と返せばじゃあちょっとここでレポートやってもいいか、と聞く。
強がって大丈夫と言ったのを見透かしたうえで残ってくれるというのだからこれ以上は何も言えなかった。

部屋で寝てるから何かあったら教えて、と残して部屋に戻ってベッドにもぐりこむ。
さっき食べたうどんのあたたかさが体中に広がってるみたいで、心地よかった。



もう一度起きると日が落ちかけていて、時計は6時を過ぎているころだった。
部屋から出ると慶はレポートと一緒に寝ていてとても気持ちよさそうだ。
気分も体調もだいぶ良くなったし、夕飯くらい御馳走しようじゃないか、とエプロンを手に取るとテーブルから落ちたであろう慶のスマホが鳴り響いた。
画面に表示されたのは慶の彼女の名前で、これは出るわけにはいかないな、と慶の肩をゆすった。

寝ぼけながら、うん、うん、と電話に出て、それを切って大きなあくびをすると背伸びをした。
まだどこか気だるい感じだ。

「何か食べる?」
「わり、呼ばれたから行ってくる」

あぁ、やっぱりそうだろうな。
わかってはいたが彼を独占できるのは彼女のポジションにいないとダメなんだろう。
それでも今日はほとんど寝ていたとはいえ一緒に過ごせたのはよかった。

「そっか、じゃあ何か食べたいのあったら教えて。今日面倒見てくれたお礼に作るから。」
「おう、じゃあいってきます」
「はいはい、いってらっしゃい」

玄関まで見送り、手を振って別れる。気分はまだいい。

とりあえず、明日迷惑かけた人たちにお礼回りだ。と背を伸ばして残り少ない今日を1人の部屋で過ごすのだ。




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -