04

「肉肉肉肉餃子と」
「野菜のうまみたっぷりカロリー抑え目餃子に」
「エビ丸々一尾入り海鮮餃子もあるぞ」

いざ実食あれ!と本部ラウンジに並べた大量の餃子とホットプレート、夜中に集まったのは大学生をメインに防衛任務終わりの隊員だ。

「まじ餃子ばっかだな・・・」

と、諏訪さん。

「水餃子用の鍋とガスコンロセットOKです!」

と、嵐山君。

「薬味と餃子のたれもいろいろ揃えたから試してみてねー、おすすめはレイジさんの特製餃子ダレ」

これは私だ。

「自分のを勧めろ、飯も炊けてるし餃子に飽きたらキムチとナムルもあるぞ」

さすがのレイジさん、他のも用意してる。
早速風間さんはごはんを盛ってる。

「小百合のおすすめはどれかしら?」
「私のおすすめはスープたっぷりもちもち皮餃子!中身は野菜と肉が半々くらいの」

加古に聞かれたものをホットプレートに並べて焼く。羽根つきでいい?と聞けば、お願い、と頼まれたので小麦粉と片栗粉を混ぜた水を流しいれ蒸し焼きに。
最後にごま油を回しかけてカリカリにしたら完成だ。
おいしい、と言われるのは喜ばしいことだ。気が狂いそうになりながら何個も餃子を包んだ甲斐があったというもの。

「なんか小百合に胃袋掴まれてる気がするわ、俺」
「急にどうしたのよ慶」

しれっと、と背後にいた慶に焼いていた餃子を取られる。
若干すごいことを言われた気がしたが期待しないでおいたほうがいい気がした。

「いやさー、昨日初めて彼女の手作りの飯食ったんだけどなんか違うんだよな」

ほらな、ほらな!期待しないでよかった。

「大学入ってから知った子だっけ」
「おう、まぁ向こうは高校も一緒で何度か話したって言ってたけど覚えてない。
まぁそれで作ってもらったの食ったんだけど、やっぱ小百合の作る飯のほうがいいな。」
「小百合の手料理になれたらそりゃその辺のこの料理なんて普通でしょ」
「加古、それは言い過ぎ。私も平均的なものしか作れないから」

新しくホットプレートに餃子を並べていく。
じゅうじゅうと焼けるにおいが今か今かと待ち遠しくさせる。

「でも実際食堂とか定食屋とか行って食べても最終的には小百合の飯が恋しくなるんだよなー、胃袋掴まれたってやつだろこれ」
「・・・それ、彼女の前で言わないでよ」
「え」
「言ったの?」
「聞かれたから、つい」
「馬鹿か、いや馬鹿だったわ」

顔も知らない慶の彼女に恨まれた気がした。
急に背筋が寒くなって餃子スープを作ろうかと思うほどだ。

「太刀川君それはだめよ、確かに小百合の料理はおいしいけど言っちゃだめよそれは」
「今度から気ぃつけとく」
「あと何が食べたい?って聞かれたとき失敗しなさそうな、普通の人が作れるものにしなさい。カレーとか。
小百合はレベルがおかしいからクオリティ高いけど、ほかの子はそうじゃないのよ」
「加古、話盛りすぎ」
「だって小百合がカレー作るって言ったらまず水入れないで野菜の水分だけで作って、市販のカレールゥじゃなくてスパイス調合して作るし、ナン焼いたりするじゃない、お店よそれ!!」
「待ってそれうまそう、俺食ってない」
「加古隊だけにふるまったし・・・」
「余ったカレーで作ったカレーパンもほんと美味しかった・・・」
「加古、脱線してる」

とにかく!と念を押して慶に注意を重ねてるうちに餃子が焼ける。
レイジさん特製肉肉肉肉餃子、おいしい。肉のうまみと油の甘さが口の中に広がって、がっつりしているのにしつこくない。驚きの餃子だ。湯水のように飲める餃子だ。

「レイジさん、今度この餃子のレシピ教えてくれませんか?」
「いいぞ、玉狛に来い。材料はあるから」
「ありがとうございます」
「あ、そんとき呼べよ!」
「お前はその前に彼女にフォロー入れてこい」

こうしてボーダー本部での餃子パーティーは餃子がなくなるまで続いたのだ。




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