02

監督報告書を提出するころには提出するころには太陽なんてとうに沈み切っていて、むしろ日付が変わりそうな時間になっていた。
大学に提出するレポートをやる予定だったが寝てしまったほうがいいか、それでもレポートは手早く済ませておきたい気もした。
幸い明日の講義は午後からあるし、いっそ日中仮眠してしまってもいいか、と思い始める。





「いやー助かったー」

有馬隊作戦室。本部の一室にそう書かれたプレートの奥。
室内で安堵する慶の声を聴きながら私は終わらせたレポートの最終確認をした。
時刻は深夜3時。レポートも問題なし、上出来だ。

「小百合が残ってて助かった!マジ助かった!!」
「はいはい、どういたしまして」
「風間さん今日防衛任務だったらしくてさー、もう終わるころだって言ってたけどそれからは付き合ってくんねーし」
「そりゃそうでしょ・・・何か食べる?」
「うどん」
「あったかな・・・」

作戦室の椅子から立ち上がり、すぐ後ろにある給湯室に向かう。
給湯室、と言っても私がよく寝泊まりするので広く作ってもらいガスは無理だったので電子調理器2台と電気ケトルを装備したちょっとしたキッチンだ。
冷蔵庫も他の隊より少し大きいのは食品をため込んでいるからだ。正直ここに住んでる感がやばい。

冷蔵庫の冷凍室を明けると冷凍うどんがちょうど二人前分残っている。
野菜も間に合いそうだ。問題なし。調味料もこの前買い足したので大丈夫だろう。

「うどんだけでいい?」
「おかずできんの」
「野菜炒めくらいならちゃちゃっとできそう」
「じゃあ頼むー」

そうと決まれば作ってしまおう。

定期的に食堂のキッチンを借りて作っている濃縮出汁のアイスキューブとウォーターサーバーから出した水を鍋に入れ火にかける。出汁の味を簡易顆粒出汁で整え、しょうゆ、みりん、酒で味を決めていく。

もう一つの鍋で湯を沸かしている間に野菜炒めだ。
冷凍庫からすでに切って冷凍保存していた野菜を取り出して油を熱したフライパンに入れる、放置。そこそこになってきたら味付けして、これでいいだろう。


沸いたお湯に冷凍うどんを入れて時間を計り、その間にさらに冷凍庫から保存していたあらかじめチューブしょうがと醤油、塩で軽く味をつけて、つみれ状に形成しておいたそれをつゆに落としていく。
うどんをざるにあけてぬめりをしっかりと洗い流しどんぶりに入れるころにはつゆにいれたつみれに火が通っていい感じになる。
つゆを注ぎ入れて、一味唐辛子などの薬味を添えて、完成だ。

「できたよ」
「相変わらずはえー」
「生ごみ出さないようにあらかじめ下処理してることが多いからその分ね」

隊室では生ごみを出さない。というルールを設け、野菜を切る、出汁を取る、という作業はすべて許可をもらって食堂のキッチンを借りて行っている。材料はもちろん自分持ちだ。
うめー、と言いながら食べてもらえるのはうれしいものだ。
忍田さんが預かってる二階堂ちゃんもかなり料理上手だし、実際慶は食べたときかなり称賛してたから少しばかり安心した。

「そいやさ、俺彼女できたんだよ」

ずずっ、とうどんをすすりながら行儀悪く言う。
は?彼女?慶に?

「このちゃらんぽらんに?」
「ひでぇな」

小さくてかわいい子で、大学入ってから知った子だという。
そうか、私はそんな付き合いの浅い子に負けたのか。と思いながら?をすする。

こうして私は静かに失恋したのだ。




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