この歳になるとやっぱり好きな人というのは出来るものであって
周りにはカップルがいっぱいワシャワシャといるのでございます。
もちろん私も好きな人はいるのです、ただそんなこと口が裂けても言えません。
なぜなら…
「ねえなまえ、なにボケっと口開けて僕を見つめながら立ってんの?気持ち悪い」
「それレディに対して失礼じゃない!?リドル見てるのは本当だけど口は開いてないよ!?ほら!?」
「あーわかったわかった。素敵なレディうるさいから静かにしてくださいませんか?」
「棒読みじゃ意味ないの!」
「ただでさえ馬鹿どもがいちゃついてるんだから僕をイラつかせないでくれないかな?素敵な素敵なレディ?」
「ねえ皮肉」
「すごいね!なまえは僕が皮肉を言ってるのがわかったんだ!」
「もー馬鹿にしないでよ」
そうなんです、私が好きになってしまった人はこの人トム・リドル
みんなには見せないような一面を見てしまってから友達以上だけど恋人未満ですらない微妙な関係になったのです。
「あの」優等生で「あの」誰にでも優しいトム・リドル本当はとんでもない野郎だったのです。
例えば私が箒に乗る練習をしてて落っこちた時はみんなの陰に隠れて一番笑ってたし
魔法薬の実験で間違えて爆発させた時は目にも止まらない速さで私の優秀な頭を(全力で)叩いたし
彼が部屋から出たくない時は図書館で重い本を何冊も借りてこいってお使いに行かされたり
いろいろ思い返したけどやっぱりとんでもない野郎だ。
「人の悪口を目の前でいうのはやめてくれない?」
「え…開心術やめて!人権侵害!プライバシーの侵害!」
「人権ってなまえに人権なんてあるの?そもそも顔に書いてある方が悪い。それに僕について来てるけどなまえはどこに行くの?ほっつき回ってる時間があればこの前の再提出になった課題でもやったら?」
「えーなに?全然聞こえないーもっと大きな声で言って?」
「……もう課題手伝わないから」
「ああ、神様仏様リドル様待ってください私を見捨てるのでしょうか?」
「全く…いいよ、夕飯のあと手伝うから」
「ありがとうリドル!さすがリドル!やっさしー」
「じゃああとでね」
「はーい」
ほら、とんでもない奴。
さらっとひどいこと言えちゃう。
先生たちが聞いたらびっくりするんだろうななんて思っていると先輩から声がかかった。
「ミスみょうじ?あなたトムとはどんな関係なの?」
「え?ただの友達ですけど」
「その割には距離が近いんじゃない?あんたみたいなブスにトムは似合わないわ。ひどい目にあいたくなければ黙って引いて?きっとトムは優しいからあなたみたいなのがいても迷惑に思いつつ強く言えないのよ」
またこれだ。もう何回目?もう飽きてきちゃったよ。
それに最後のは訂正したい、優しくなんてないし毎日心を抉るように強く言われてるから。
みーんないうことは似たり寄ったり。
確かに私は東洋人だし顔立ちも幼いし先輩達みたいにボンッキュッボンでもないから
リドルには似合わないけど最初から諦めたくはない。
でもこのままでもいいような気がする。この関係を壊したくはない。
「トムから離れてくれるわよね?」
「いやです」
「…っもう一回聞くわ。これが最後よ?トムから離れてくれるわよね?」
「いやです」
「このっ」
パンッ
乾いた音の後に頬に鋭い痛みが走った。
一瞬何かわからなかったけど、数秒後やっと自分が叩かれたことが理解できた。
向こうから複数のカップルであろう男女の楽しそうな声が聞こえてきた。
「今日は引き上げるわ。また今度ね、まだ終わってないから」
そう言うと先輩は綺麗なブロンドを翻して何処かへ行ってしまった。
やっぱり不釣り合いだよね。そんなのわかってる。わかってるけど諦めきれないの。
夕飯の時間がやってきたが私は部屋で寝た。
食欲がないとかそう言う話の前に私は先輩に言われた言葉への悔しさのあまりつい泣いてしまったのだ。
リドルに会うと絶対いろいろ言われる。だから部屋から出ないことにした。
彼にだけはばれたくない。
コンコン
ドアを叩く音が聞こえた
「なまえ?体調でも悪いの?」
リドルだ。なんでよりによって今来てしまうのだ。
震える声を必死に抑えながらなに?と返事する
「…泣いてるの?」
「え?なんで」
「声が震えてる」
おい、仕事しろ私の声帯。
「そんなことないよ、ただ頭痛いから寝てるの」
「じゃあ開けて。なまえが夕飯に来てないの見てご飯持ってきたから」
待てよ。今入られては困る。目がちょっと腫れてるしもちろん声は震えてる。
ばれてしまうじゃないか。
「リドルが優しいなんて珍しい。なにがあったの?でもありがとう。大丈夫、もう寝るから」
カチャ
???なんの音だ?
「ねえどこが頭痛いの?なまえ」
「え、うそ…」
最悪だ。ルームメイトが夕飯から帰ってきてないから鍵を開けたままだった。
そう、リドルが入ってきてしまった。
「泣いてるんじゃん」
「だってっ…」
「なにがあったの?」
リドルの声は優しかった。まるで子供を癒し、寝かしつける母親のように。
私はあったことを言った。
「…」
「…」
「ごめんね、なまえ?僕のせいで傷つけてしまって」
そう言うと彼は細く長い指で叩かれた私の頬をそっと撫でた。
「なんでリドルがそんなに苦しそうなの?」
「…だって大事な人が自分のせいで泣いてるんだよ?」
「待って、いまなんて言った?もう一回言って」
「うるさい、もう言わない」
「いま私聞いたよ!だいじnっ」
一瞬だった。
リドルの綺麗な顔が近づいて来て彼の形の良い唇によって発言中の私の口が塞がれた。
思考はもはやパンク寸前。
キスした後私達は見つめあった。
「私でいいの?ありがとう、リドル」
「なまえがいいって言ってるんだけど何回言わせればいいの?」
「ずーっとずーっと言ってて!」
「馬鹿」
「リドルだいすき!」
「僕も」
そう。私が好きになったのは意地悪なとんでもない野郎だけどいっぱいっぱい優しいところもある。
箒から落ちた時は真っ先にお見舞いに来てくれたし
魔法薬を爆発させた時は一緒に片付けをしてくれたし
借りさせた本は私がのレポートの参考資料にさせるためだったし
夕飯に現れないからご飯だって持ってきてくれた。
「好きだよリドル」
「知ってる」
( I'm no match for you. )
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