(テーマはもしかしたらおんなのこ)
(尻切れ3本立て)


:ノックアウトリリィ


 やられた。大変遺憾ながら撃ち抜かれてしまった。脳天の辺りだったのか心臓の真上だったのかそれとももっと何か奥深い所であっただろうか。それは例えば機関銃の様な何かだったし、ライフルの様な何かだった。将又リヴォルバーの様なものであったかも知れないが、とにかく、撃ち抜かれてしまったのだ。まるで武器など似合わない様なその人によって、ずきゅうんと。ありきたりなそんな音が脳内を響き渡ってしまったのだ。開いた穴を塞ぐ術が見当たらない。
「ああ恋だねそれは」
「随分簡単に言ってくれるよね、君は!」
「僕、無関係だし」
「……そーだけど」
 嗚呼そうだ、無関係ならば良かった。無関係なら今こうして君に言って泣きそうだなどと考えなかった。勿論笑って泣かない位は出来たが。
 だが撃ち抜かれた傷口は塞がらないのだ、恐らくは永久に。もしもこの血が止まっても。何を隠そう君は酷くそう言った感情に遠くあるようであったから。きっとずっと壁があるわけで、半径40センチの君は困ったことに余りに遠い。





:揺れる黒とシロと僕

 彼女は直線。彼女は白。彼女は黒。僕が彼女は何だと問われたならまずそう答えるだろう。彼女はそしてしかし何故か驚くほど曖昧だ、とも。矛盾。矛盾こそ彼女かも知れない。盾と矛の間に在るような分かりやすいそれではなく、もっと、突き詰めた矛盾。パラドックスに近いのかもしれない。
「大好き」
「ダウト」
「早いよ」
「そう?」
 まったく、彼女は直線に曲線で白と黒なのに灰色でなくて、パラドックスで偏屈で頭が悪くて賢くて、生きるのが下手くそなとんだ意地っ張りの、可愛い可愛い女の子だから憎めない。なんてこった。





:いきているおんなのこ

 最近はなんだかそんなものを考えた覚えがなく、久々によく考えてみたら隣に居て不機嫌そうにキットカットを食べるこの人は生きているということに気が付いた。怖くなった。なんだ、いきるとはしぬということではないか。
「ねえ、ごめん、呼吸を止めてもらえる?」
 恐る恐る提案。無論、「はぁ?」ばかなこと言わないでよと一蹴された。一歩間違えば侮辱だとか迫害になりかねなかった台詞は、その人の纏う甘ったるいチョコレートの匂いに殺されて効力を成さない。泡のように消えた。
 此方を見もせず、咀嚼。焦茶はどんどんと喉を通り過ぎていく。呼吸と比例して広がる甘苦いその香りは、生きているその人の匂いでした。






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -