:テンポとオト


 ゴミでも輝く、とかいうのは幻想なので結局そいつがマジで最低で倫理と論理がバグっていたことは動かしようのない事実、なんですけど。酒クズのニコチン中毒だしセックスに罪悪感ないし、っていう大半が別にどーでもいい。どーでもよかった。俺にとってはあの音の箱の中のそいつだけで十分だった。
 爆音。怒鳴りつけるような歌声。繊細には程遠い言葉たち。がなる、その音が心臓を確かに引っ掴んだ。ライトが眩しくてそいつのことがきっとよく見えてなかった。酔っていた。酔わされていた。同じステージの真ん中に居るそいつが、ぎらりと品もクソもなく笑う瞬間。
「あっは、見惚れちゃった?」
 恋。とかいうモノは一生無縁であり続けるだろうお前でも。沢山の誰かを撃ち落してほしい、撃ち殺して再起不能にして!
「自惚れも大概じゃね」
「スナオじゃないのはよくないぞ!?」
 そのピアスの反射に言うことはない。俺は楽器を鳴らしてそいつはマイクを握りなおした。この箱の中で言えなかったことは、生涯口にすることはない。そのことを俺は青春と呼んで誤魔化し惚け続ける。






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