:海と智瀬


「ちーちゃん兄貴なんか辞めて俺と付き合おう」
「ごめんなさい全く聞こえなかったのだけど」
「それ聞こえてるよね」

 海くんの考えているような間柄ではないのよ。私と酒井なのだから。そう言いながらちーちゃんは笑った。ちーちゃんは俺と居るとき、兄貴と居るときよりもよく笑う。ふんわりと、美人に。それは普通なら嬉しい事なのだけれど、ちーちゃん相手だとちょっと違う。
 本当のちーちゃんは、殆ど笑わない。つまらなそうな顔をして、兄貴のとなりで毒舌を吐いているちーちゃん。八つ当たりみたいなピアノにけらけら笑って暴言を吐く兄貴。最悪みたいな光景だけど、最高に幸せだと思わせるくらいの空気を持つんだ。

 兄貴の畜生め、ちーちゃん泣かしたら俺がきれるからな。まじで。







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