(めると)
(土砂降りの雨が降る)


:野棚となこと

「野棚さーん、もしかして傘無いのー?」
「無い、忘れた」
「降水確率90%ってゆってたじゃんお天気お姉さん!」
「知らん、見てない」
「えー、あ、そうだ。じゃあさー、逆メルトして帰ろっか?」
「……ハァ? なんだ、それ」
「えーっと、だから一緒に入ってく? 駅までなら入れてあげるから」
「……、い、い」
「やだ、酷いなあ野棚さん。僕が濡れて帰ってもいいってゆーの?」
「待て、お前の話は噛み合っていないぞ」
「あのね、まさか野棚さんをこのまま帰すわけにいかないでしょ。だから、僕は野棚さんに断られたらこの傘を君に押し付けて走り去ります、無論猛ダッシュ。野棚さんには追い付けないと思うよー?」
「……阿呆天藾」
「あっはは! どーいたしまーしーてー」





:祇園といこと

「祇園、傘は」
「ありませんわ、因みに貴方に入れて頂く気もございませんから悪しからず」
「うわ、お前可愛くねぇな」
「何とでも仰って下さいまし、もしかしたら止むかも知れませんし」
「夜中までざーざーだと、予報ではな」
「予報は予報でしかなく其処に絶対はございませんのよ、ご理解頂けますかしら?」
「……本当、可愛くねぇ」
「何とでも……って、なんですの、この傘は」
「お前が俺と一緒に帰るのごめんだっつーの位知ってる。俺はロッカーにもう一本折り畳みあるから、其れ、貸してやる」
「意外と、フェミニストな所がおありですの、ね、天藾さんの癖に」
「何とでも言えばいーだろ、馬鹿祇園」





:一雨となこと
「ひーとーふーりーさーとーりー!」
「げ、なこと。上機嫌な顔をしているまるで俺が獲物だったかのようだ然し安堵の色も見せる、とにかくとにかく嫌なよか、ん、」
「里々、傘持ってんじゃん。僕とメルトして! メルト!」
「……メルトってお前な、朝まで傘持ってたろ。恐らく先月の頭に気に入って居た傘をぱくられたことを考慮してか近所の百円均一で買ったのであろうビニール傘を」
「其処まで悟ったら、里々の名前に恥じず最後まで察してよー」
「……ちっ、大方、いことが祇園に格好付けて傘を貸したは良かったけれど実はロッカーの中に有った筈の折り畳み傘は先週なことが野棚と帰る際に使用し挙げ句持ってくるのを忘れて居て急いで職員室に行って借りようと思ったら最後の一本は丁度俺が持っていった後だったと言ったところかな」
「流石、里々。でも最後の一本の下りは初耳、序でに多分其れ墓穴」
「然し此処でさて問題。職員室に残って居た最後の一本なんて傘がまともな傘の筈もなく俺の手元にあるビニール傘は開くことは有りませんでした。以上、来週に続く」
「問題になってない!?」
「走って雨に濡れて風邪を引かない様にと急いだ挙げ句、最寄り駅の階段で滑り転ぶことの無いように気を付けてこの雨の中俺と一緒にメルトも出来ず帰る、が、正確」
「前半の不吉な助言はさておき、賛成」







(melt)
(vo.Miku Hathune)
(song.ryo)








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -