(アークとレグ)

 薄い、肉。
 ごくごく薄い肉の上に薄い皮膚がのっている。白い肌はほとんど血の色を見せなくて、骨を包んでいることだけがわかる。骨の形を目でなぞった。
「なにみてんだよぉ、えっちぃ」
 不健康な体とはかけ離れた明るいトーンの声が飛んでくる。着替えていた手は止まって、黒く目立つ瞳がこちらを見ていた。
「ってかアークのくせに苦いんですけどぉ? 何ナニ? 俺なんっかヘン?」
「へんじゃない……けど、食べて、ない」
「え、ああ、えっと、あー……そう、なー」
 最近またあんま食ってないかもしんない。レグルスは言いながらつまめもしない腹の皮を撫でる。薄い。浮き出た肋骨は少しと言わずずいぶんとえぐい。よく見ればその腕も脚も体を支えているのが不自然なほどに細く、付け根から心許ない。
「レグ、すきなものは」
「アーク!」
「……ちがくて」
「えー。でも、やっぱそこはアークっしょ」
 アークと一緒だったらなーんでも食べられるかも、なんて言って。本当はダメなんだけど。だめだってわかっているのだけど。自分のことにさえ無責任に笑ってしまう、君の命にぼくは甘い。




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