(いこなこ)
僕は、曖昧で適当でどうしようもなく不確か。僕は一体あとどれくらい僕で居ても良いのだろう、明日なのか明後日なのか百年後なのか二秒後なのか。神様が余り優しく無い事は理解して居るから、多分其れが唐突に訪れて仕舞うことも分かって居た。
僕は、何時か必ず消えて無くなる。多分いことを置いて。あんなに弱くてどうしようも無くて可愛さの欠片も無い馬鹿で勝手で死にたがりで大嫌いで、大好きないこと。僕が居なかったらきっと死んじゃうんだ。だから、だから。ごめんなさいなんて言わない。
「死んで」
(なんで)
「消えちゃうから」
(なんで、)
「怖いから」
(なんで)
「怖いから」
(なに、が)
僕が居なくなって仕舞う事が怖い。いことが死んで仕舞う事が怖い。僕が居るからいことが生きて居るので有って、其れが崩れ、たら。
(崩れたら?)
「崩させない」
嗚呼、そうです。やっぱりごめんなさい僕は我儘なんだ。僕が居なくなる事もいことが死ぬ事も怖くは無い、僕が居なくなってもいことが生きて行けて仕舞うかも知れない事が、一番、怖い。怖い。僕の必要性が無かった事に成るのが怖い。僕が要らないと言う事実が怖い。だって僕はきっと必要無いんだ、分かって居る分かって居るから。
そんな、泣きそうな顔をしないでよ。僕はその位いことが大好きなんだから、愛された事を喜んで、よ。
「好きなんだ」
(すきだよ、ばか)
「愛してよ」
(なくなよ、ばか)
泣くなよ。僕と同じ声で其れはかたかたと震える腕の力を抜かす。首に当てたカッターが、からんと落ちた。
「愛して、よ」
(──ばか)