(愛と黒梨)

 安定を失っても尚笑う人間は面倒だ。対処のしようが、無いのだから。例えば、慎なら泣くし、アークテュルスはぷつりと切れれば其れは分かりやすく壊れる、天藾のお二方だって、表現の仕方は悪いながらもSOSを出すだろう、時姫はなかなか分かりにくいけれど、本人としては上手く発散しているつもりだろうし。琉夜や翔保はお互いに安定を確かめ合って生きている。
「……その点、貴方は扱いつらいですね」
「あ? なんのはなしだよ、」
「嘘が上手いのが苛立たしく腹立たしいと言っているのです」
「そりゃ、……どうも」
 誉めていません、と言えば、はいはいと言いながらプーアル茶を出された。
「用意の良いこと、で」
「こないだ安くなってたからな」……あ、甜茶も買ったけど持っていくか「要りません」、慎が調子に乗るでしょう。ぴしゃんと言えば、厳しいこったな、と笑われた。安定的な笑いだ。嘘偽り無く、それは、
「貴方は、嘘が上手いのではありませんね」
「……さっきと言ってっこと真逆だぞ」
「いま、気付いたのです」

 ──貴方、嘘に無自覚なんです。








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