(愛とアーク)


 ぼくだって嘘ぐらい、吐くからね。彼はそう明言した。真っ直ぐした素直そうな、私の大嫌いな目をしていた。
「ぼくは、幸せです」
「そうですか」
「世界中が好きで、なにもかもが優しいと思うし、未来には希望が溢れてると思う」
「そう、ですか」
「黒梨は賢いと思うし、なことは素直だし、いことは器用だし、時姫は料理が上手いし、翔保は穏やかだし、琉夜は怒らないし、慎は死にたがらない、鑑は道徳的で、愛は嘘を吐かない」
 全部嘘。ダウト。反抗期なら余所でやれ、私は貴方に構う暇はないし詰まらない話は大嫌いだ。アークテュルスのことも好きではないのだ。大嫌いだ。
「そんで、ぼくは、愛が大好きだよ」
「──……ダウト」
 嘘の嘘なんて、がきにはまだ早すぎます。ねえ、馬鹿でしょう。もっと素直な嘘を吐いたらどうですか、

(例えば私はアークテュルスが大嫌いだ、とか)
(分かりやすい嘘も、たまには素敵でしょう)






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