(幸福論)

:電波と不良の場合

「黒梨は、幸せ?」
「え、ああ、……まぁ、そこそこに」
 ぼくの質問を処理するものの1秒、2秒の間に、凄く沢山の思考が黒梨の頭の中を駆け巡った。沢山の場面、笑ったり泣いたりする女の子、血とかどろっとしたなにか、投げた携帯電話、傍若無人の大家、身勝手でアホなアパートのみんな、もう一度最初の女の子、それから時姫で、ぼく。
「まぁ、幸せだな」
「そっか」
「お前は、」
「ばっかだなあ、幸せに決まってんじゃん」



:二重人格の場合

「幸せって言葉自体が幸せだよね」
「は?」
「なんか、響き」
 甘そうなたるそうな平仮名の響き。ちょっと間抜けな響き。はっぴー。
「なことに似合うな」
「……なんでそこですっごく馬鹿にした態度とっちゃうかなあ!」



:嘘吐きとアホの場合

「愛は幸せ「貴方が私と同じ空気を吸っていないかぎり私は大変幸せだと思いませんか?」……ツンデレ解釈しろってことですか?」



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