(なこと)

「呼吸すら僕の意志ではないわけで、心臓も瞳も爪先も額も僕のものではない。だから僕はこの世界が大好きだよ、嫌わないで好きにならないで呪わないで愛さないでただ僕が存在したことを覚えていて、それだけで大丈夫、ということになっているうちは、せめて、憂鬱な顔で笑って」

 なこと、という名前をくれたいこと、という名前は君のくそったれな母親がくれた。僕は君のものだと思う、名前を、いつまでも自分だけのものにはできそうにないよ。
 勝手に生きることも嫌うことも僕はしない、そういうことにしておいて。僕たちの破綻は恐ろしく容易い、その筈だ。




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