臨時広報担当!チーム出水!

中身もオチもないです。

ーーーーー

珍しく根付に呼び出され、紅葉は上層部の部屋に向かっていた。身体のことで鬼怒田に呼び出されることはあるが、根付に。心当たりがなく不信感を抱く。


「…失礼します」


1人で恐る恐る部屋に入ると、中には先に双子の兄の姿があり、一気に緊張が解れた。


「公平…?良かった…」
「あれ?なんだよ、紅葉も呼び出されたのか?」
「うん」
「根付さんに?」
「そう」


お互いに呼び出された理由は分からないまま、誰もいない部屋で首を傾げた。呼び出した張本人の根付がいないため、どうしたものかと。


「お前なんかした?」
「公平じゃあるまいししてない」
「おれだってしてねぇよ」
「この前、太刀川隊の防衛任務のとき建物破壊し過ぎって怒られたんでしょ?」
「…なんで知ってんだよ」
「陽介に聞いた」
「あんの槍バカ…」
「またなにかしたんじゃないの?」
「だからしてねぇよ。それに、それで呼び出されるなら根付さんじゃねぇだろ」
「…確かに」
「おれたち2人ってのは何かありそうだよな」
「………」
「おいなんでそんな嫌そうな顔してんだよ」
「公平と一纏め…」
「入ってきたとき、おれ見てすげぇ安心した顔したくせになーに言ってんだよ」
「し、してない!ちょ、離してよばか!」


きゅっと鼻を摘まれて慌ててそれを振り払う。安心したのは事実だが、それがバレていたのが恥ずかしくなり、頬を染めて否定する。そんな姿に出水はケラケラと笑った。むーっと唇を尖らせる紅葉の頬を楽しそうにつつく。


「すみません、遅くなりまし…」


そこへ遅れてやっと根付がやってくる。
目の前で繰り広げられるやり取りに思わず固まった。なにやらふわふわした雰囲気が流れていた気がする。


「お疲れ様です、根付さん。おれたちに何か用があったんすか?」
「あ、え、ええ、そうでした。実は君たちにお願いがありまして」
「「お願い?」」


こてんと首を傾げた双子に根付は勢いよく双子を指をさした。


「それです!それ!」
「「は?」」
「双子ならでは反応と動き…!やはりこれは行ける…!」


1人盛り上がる根付に、双子は顔を見合わせた。


◇◆◇


「「双子ユニット!?」」


根付からの説明を受け、双子は驚愕の声を上げた。


「そうです!ボーダーの双子ユニット!」


高らかに宣言する根付。
何故こんな話になったのか。
それは、嵐山隊の隊員が嵐山以外風邪を引いて来れなくなってしまったせいだ。普段の広報の仕事は、嵐山が迅とどうにかして隊員を集めて行うらしい。けれど、今回は新たな広報の仕事があり、そこまで手が回らない。そのため、根付が今回の広報に適任な隊員を探し、声をかけたのが出水兄妹だったのだ。

広報の内容は、ただの新入隊員の獲得。入隊希望者を集めるために何か目立つことをしてくれ、とのことだった。


「ボーダー内に兄弟すらあまりいないのに、双子ですよ!双子ユニット!レアなんです!これは絶対売れます!」
「売れるってなに!?」


紅葉の言葉に落ち着いてごほんっと咳払いを1つ。


「いやいや、広報になるということですよ。普通にやるより目を引きます」
「今なんか本音が見えたよな」
「うん」


双子のじとっとした目から逃れるように視線を逸らした。


「でも、嵐山さん以外風邪なんて珍しいよね」
「だよな。あいつら滅多に風邪なんか引かないのに」
「今年は流行りみたいでして。他の隊員も何人かやられていますよ。ですが、何とかは風邪を引かないと言いますし、君たちなら大丈夫でしょう。任せられます」
「行こうぜ、紅葉」
「そうだね」


くるっと出口へ向かう双子に根付は慌てて引き止めた。


「ちょ…!ままま待ちなさい!」


再び双子のじとっとした視線が向けられる。


「ちゃんと広報用の君たちの衣装を用意してあるんですよ!」
「「衣装…!」」
(釣れた…)


2人揃って冷たい視線が途端に輝き出す。衣装という言葉に食い付くとは思っていたが、ここまでとは。内心でほくそ笑む。


「かっこいい衣装ですよ?特別な衣装ですよ?君たち専用ですよ?着たいですよね?」
「「き、着たい…!」」
「なら、広報やってくれますね?」


根付のダメ押しに、双子は顔を見合わせた。


「まあ歌って踊るわけじゃないし、ちょっと楽しそうだしな。おれは別に良いぜ」
「……公平はともかく、わたしじゃ広報務まらないと思うんだけど」
「平均より顔が整っている、目立つ派手な射手、双子というポジション、それでいてライバル。何より君たちの距離感があれば充分ですよ」
「「は?」」
「いえ、こちらの話です。とりあえず衣装を設定したトリガーを渡すので起動してみて下さい」


これ以上何かを言われる前に、やる前提で話を進めてトリガーを渡す。紅葉は渋々とトリガーを手にした。
そして2人は再び顔を見合わせ、同時にトリガーを起動する。


「「トリガー、起動」」


光と共に現れるお揃いのアイドル風衣装。
男性用と女性用でアレンジが加えられている。予想以上に素敵な衣装に双子は自分たちの姿を、お互いの姿を見て目を輝かせた。


「とても似合っていますよ」
「かっけぇ…!」
「かわいい…!」
(単純で良かった)


衣装は気に入ったようなので一安心だとほっと息をつく。双子は自分と相手の衣装を楽しそうに弄り合い、褒め合う。その姿は年相応にとても楽しそうで。これならば上手くいきそうだ。


「それでは期待していますよ!臨時広報担当!チーム出水!」
「なんかそれやだ!!」
「なんでだよ!!」


仲良さ気な雰囲気から一変、ぎゃーぎゃーと喚き合う。先ほどの安心はどこへやら。一気に不安に襲われ、根付は額を押さえるのだった。

ーーーーー
続かないよ。
スマボダに滾り過ぎただけだから…甘くもなんもなくてすみません…
衣装ほんと…凄く良いんだ…!
公平くん出たら書くとか言っちゃったから有言実行!中身もオチもないけど書いたからOK!!
むしろアイドル下さい…;;


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