ポッキーの日(出水兄妹)

ほぼifじゃないけど一応ifで…?

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「おーい弾バカ兄妹、今日はポッ………」


ポッキーの日だ。
そう言おうとポッキーの箱を片手に登校した米屋は、教室に入って早々に目に入った光景に溜息をつく。
机を挟んでポッキーを咥える双子の姿に。

2人がちらりと米屋に視線を向けるとポッキーは真ん中でぽきりと折れる。


「あ、陽介のせいで折れた」
「ん、じゃあやり直しな」
「…お前ら朝から何やってんの…」
「「ポッキー勝負」」
「せめてゲームしろ」


米屋を適当に流しながら出水は箱からポッキーを出し、再び咥えた。そのまま、んっと紅葉に突き出す。紅葉は何の戸惑いもなく、出水の反対からポッキーを咥えた。


「…お前らさ、これの勝ち負け知ってんの?」
「先に口離した方が負け、だろ?」
「そのくらい知ってるよ」
「負けず嫌いのお前らがそれやったら確実にやばいことになると思うんだけど」
「大丈夫だって。おれ負けねーし」
「わたしだって負けない…!」
「だからやばいんだっつーの!」


喋りながら少しずつ食べ進む双子を引き離した。


「ちょ、おい、何すんだよ」
「また折れた」
「とりあえずここでは止めろ。いや本部でも止めておけよ」
「「なんで?」」
「何でもだよ。今でもクラス中の注目すげー集めてんのにほんとそういうとこ鈍感過ぎんだろ」
「いやみんな見てたのは知ってるぜ」
「は?」
「うん。みんなもやりたいのかと思ってた」
「……あー…お前らとやりたがる奴はいるかもな」


見た目だけはそれなりに良い双子だ。モテるかモテないかでは、モテるに分類される。
ただでさえ注目を集める双子なのに、こんな所でポッキーゲームなど余計に目立つだけだった。その目立って全員が注目している所に、米屋の考える最悪の事態だけは避けたいと、何とかポッキーの箱を取り上げた。


「あ、槍バカ返せよ」
「勝負の続き出来ない」
「しなくていいっつの。やるなら家で2人で………いや、それが1番危ないのか…?」


双子のことに何故か頭を悩ませる米屋に対し、当事者である双子は新たなお菓子の箱を開け始めた。


「おいコラ」
「とりあえず勝負つくまでな」
「だからお前ら2人じゃ勝負つかねーから危ないんだろ!」
「大丈夫、負けない」
「何なのこいつらほんとバカ…」
「陽介にばかとか言われたくないんだけど!」
「同感だな。バカにバカって言われるのは腹立つ」
「お前らな…。じゃあちゃんと考えてみ?ポッキーゲームして、負けず嫌いのお前らがどっちも口離さないで最後まで行ったらどうなるよ」


出水は新しいプリッツの箱を開けて咥えながら思案する。紅葉も少し考え、2人は同時に米屋に視線を向けた。


「「引き分けになる」」
「マジでバカ兄妹」
「は?間違ってねーだろ」
「間違ってねーけど!その引き分けになるときはどうなるかって話だっつの!何でここまで言わねーと分かんねーんだよこの双子…」
「引き分けになるとき…」
「ポッキー食べきる」
「だな」
「ちげぇよ!」
「あ、プリッツか」
「だね」
「……もういいわ」


ツッコミに疲れた米屋は額に手を当てて盛大な溜息をついた。双子のためにとフォローしてやっていたが、もう無理だ。自分1人でこの雰囲気の双子の相手をするのは荷が重い。けれど犬飼には良い土産話が出来たと心の中でほくそ笑む。


(あいつらがイチャイチャしてんの見るのは、オレだけで良かったんだけどな)


双子の秘密を知っているのは自分だけ。そのことで少し優越感を得ている。


(でもまあ、こんくらいのことなら周りの反応も一瞬だけで済むか)


また自分がフォローしてやればいい。
本気にする者もそうはいないだろう。


「ま、ポッキー勝負なんてただの口実だけどな」
「………は?」


米屋から取り返したポッキーを咥え、にやりと笑みを浮かべる。


「学校で堂々と紅葉にキスする口実」
「…こいつ…」


思った以上に狂っていた。思わず顔を引きつらせる。


「公平、」
「おう、じゃあやるぜ。先に口離した方が負けだからな」
「うん」


出水の咥えたポッキーを、反対から紅葉が咥えた。そしてお互いにゆっくりと食べ進めて行く。


「はいはい、あとはごゆっくり」


オレはもう知らねーからな、と。米屋は双子に背を向けて三輪たちのいる教室に向かった。このバカな双子への愚痴を聞いてほしい。後ろですでにイチャついているであろう双子に呆れたように溜息をつき、教室出て行った。
戻ってきたときの周りの反応が少し楽しみだ。


end

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双子if!
嬉しいことに人気のようなので増えました←
ifじゃなくてもポッキーゲームはしてそう…勝敗は置いといて。
今後も増やしていきます!!
米屋くんほんとありがとう…!

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