吐息を飲み込んで

ちゅーしてるだけ。
ちょっといかがわしいので注意です

ーーーーー

「ん…っ」

部屋に連れ込まれて早々に、春は爆豪から噛み付くような口付けをされた。息をつく間もない口付けに苦しくなり、酸素を求めて口を薄く開けば、それは簡単にこじ開けられて。ぬるりと舌が入ってくる。
驚いて離れようとしたが、後頭部をしっかりと固定されているために逃げることが出来ない。


「は…っ、ん…、」


口内で逃げた舌はすぐに絡めとられてしまい、甘い声が漏れる。文句を言いたいのに口内を荒らす快感に脳が痺れ、思考がまとまらない。何でも出来る彼はキスも上手いのかと悔しくなった。


「は、ぁ…も、ん…っ、む、り…」


激しいキスに足がガクガクと震え、ついに力が入らなくなり崩れた。しかし咄嗟に腰を支えられ、強制的に立たされる。座ることすら許されず、終わらない口付けに脳に酸素が足りなくなり、頭がぼーっとしてきた。


「は…っ」


爆豪から漏れた息にどきりと胸が高鳴る。ただの息、それだけに興奮してしまう自分が恥ずかしい。


「ふあ…ぁ、ん…っ、はっ」


くちゅくちゅとわざと音を鳴らしてから、爆豪はやっと唇を離した。お互いを繋ぐ銀の糸はてらてらといやらしく光っている。


「ヤる気になったかよ」
「…はぁ、はぁ…」
「キスだけで随分とろっとろだなおい」
「か、勝己くん、が…キス、上手すぎるんだよ…!」


爆豪の服を掴んで何とか立っている状態だ。もし腰から手を離されればすぐに崩れ落ちてしまうほどに快楽は強かった。
はぁはぁと赤い顔で息を乱す春に満足気に笑い、爆豪はその首筋に口付けを落とした。


「ん…っ」


ちゅっちゅっと何度も何度も、爆豪とは思えないほどに優しく、首に唇を押し当てられる。それだけで息が上がってしまった。


「か、勝己、くん…!」
「おまえ柔らかくて美味そうだな」
「へ…?」


直後、首筋に痛みが走った。


「いっ…!」


かぷりと噛み付かれ、歯を立てられる。本当に噛み切られてしまいそうなのが怖くて、ぐっと爆豪の胸を押した。


「や、やだ…!痛い…!」
「食いちぎりゃしねぇよ」
「そ、それでも痛いものは痛いの!」
「ぎゃーぎゃーうるせぇな」
「あ…っ、んんっ…や…!」


噛み付いていた箇所を今度はぺろぺろと舐め始めた。生暖かい感覚が首筋を通って全身に伝わり、ぞくぞくとした快感が湧き上がってくる。


「は…ぁっ、ん…っ!ま、って…ひあっ!」
「…えっろ」
「んふ…っ、あ…っか、勝己くんの、せい…だから…!」
「ったりめぇだろ。俺以外にこんな姿見せんじゃねぇぞ」
「も…、やめて…っ」
「アァ?噛むなっつーから舐めてんだろが」
「どっちも…むり…!も、う…立って、られない…!」


がくがくと震える足と身体。必死に縋ってくる手が愛おしい。爆豪はにやりと口角を上げた。


「ならさっさと降参しろよ。おめーがヤる気になるまで続けんぞ」
「だ、から…!やだってば…!」
「んでだよ!!いい加減ヤらせろや!!」
「い、嫌なの…!」
「てめェ俺の告白受け入れただろ!?なら別に良いだろが!!」
「か、勝己くんのことは好きだけど…!」


春は言いづらそうにもごもごと口ごもる。それに爆豪が苛立つのを感じ取り、うっすらと頬を染めながら仕方なく口を開いた。


「勝己くんのことは、好き…だけど……は、初めてだから…怖い、の…!」
「………は?」


ぽかんと呆けた顔をする爆豪に、春はカァっとどんどん赤くなっていく。


「初めてって面倒臭いって聞くし…!勝己くんに触れられるだけでおかしくなっちゃうのに、こ、これ以上おかしくなっちゃうのも、怖いし、は、恥ずかしいの…!」


涙目で睨んでくる春にしばらく固まったあと、爆豪はぼすっと春の肩口に顔を埋める。そのまま腰に回していた手をぎゅっと引き寄せ強く抱き締めた。


「……」
「か、勝己くん…?」
「…んだよそれ…っ」
「あの…ど、どうしたの…?」
「うるせぇ!!」
「えぇ!?」


そう怒鳴った爆豪に再び唇を塞がれる。先ほどよりもどこか余裕のない口付けだった。


「ふ…ぅ…はっ…」
「は…っ、ん…」


今度は爆豪も息を乱し、そっと唇を離す。春はとろんと爆豪を見つめた。


「…だったら」
「……え…?」


見つめ返した爆豪の瞳は、ギラギラと獲物を狙うような瞳をしていた。


「恥ずかしいだの怖いだの考えらんねぇくらい、春から俺を求めさせてやんよ」
「…!」
「てめェが煽ったんだ。覚悟しとけや春」
「え、あ、煽ってなんか…!」
「もう黙ってろ」
「ん…っ」


そうして再び唇を塞がれる。今までで1番優しい口付けに流されるように、春は目を閉じた。


(私の許可なんか聞かないで、襲ってくれれば良いのに…)


変に優しいせいで、いつもそれに甘えて嫌と言ってしまう。怖いのは確かだけれど、行為自体は嫌ではないのに。甘い口付けに思考を奪われながら、春は答えるように、そっと自分から舌を絡ませた。
爆豪の理性が切れるまで、そう遠くはない。


end
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えろくないけど雰囲気えろく!
爆豪くんはちゃんと彼女の気持ちが決まるまで我慢する優しさ(みみっちぃともいう)があったら良いなって願望とキス上手そうって妄想。

title:きみのとなりで

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