出久の誕生日!

「あっつー…」
「言わないでよ…余計暑くなる…」


炎天下の中、強い日差しに照らされた星と緑谷はぐったりと項垂れながらとぼとぼと何もない道を歩く。


「あちィから何だよ!!暑い夏最高だろうが!!」
「勝己は夏の暑さと個性の相性が良いからじゃん…」


暑い中で怒鳴り声を上げられ、2人は溜息をついた。その反応に爆豪の機嫌は更に悪くなる。


「こんなに暑いならもう少し涼んでれば良かったかな…」
「うちのお母さんがごめん…2人を連れてきてって言うから…」
「ほんとだわクソが」
「そう言いながらちゃんと来る辺り、勝己って出久のお母さんには弱いよね」
「アァ!?ざっけんな帰る!!」
「か、かっちゃん!お母さんかっちゃんに会うの楽しみしてるから!ね!ね!!」


母の名前を出し、何とか爆豪を宥めた緑谷はほっと息をついた。


「星は余計なこと言わないでよ…」
「あ!コンビニ!ちょっと行ってくるから待っててね!」
「ちょ、星!」


緑谷の止める言葉も聞かずにあっという間にコンビニへ入っていってしまった。少しだけ幼馴染と2人きりという状況に気まずさを感じる。


「ちっ。相変わらずムカつく野郎だな…」
「あ、はは…マイペースだよね…」


流れる汗を拭い、会話を続けようとした所で星はすぐに戻ってきた。


「おまたせ!」
「早っ!」
「ちょっと待っててって言ったじゃん!」


やること全てが速い星は袋を持っていた。何を買ってきたのか聞く前に爆豪はさっさと歩き出してしまう。


「あ、かっちゃん!もうみんな自由なんだから…!星も早く行こう!」
「出久!」
「え、何?」
「ん」
「冷た!」


半分にしたパピコを緑谷の頬にくっつけた。そしてもう1つのパピコを咥えて星は笑う。


「誕生日おめでと!」
「……うん、ありがと」


そう言って受け取り、ぱくりと咥えた。熱くなった身体には冷たさが心地良い。幼馴染らしい祝い方に僅かに頬が緩んだ。


「おい!!んでてめェらだけアイス食ってんだコラ!!」
「暑いからね!」
「普通俺の分も買ってくんだろ!」
「パピコは2人用だし!」
「まず2人用買ってんじゃねぇ!自己チュー女!」
「ちょ…!」


言いながら星のパピコを奪い取り、爆豪はそれにかぶりつく。


「私のパピコーーー!!どっちが自己チューなわけ!?」
「てめェだろ」
「どの口が言うか!返して私のパピコ!」
「ならハーゲンでも買ってこいや」
「高いし!パピコと割りが合わないよ!」
「知るか」
「むー……あ!じゃあここは間を取って雪見だいふくにしよう!」
「ハァ!?バカかてめェは!」


何が間なんだと思いつつも、巻き込まれないようにと突っ込まずに緑谷はパピコを吸う。


「雪見だいふくは冬だろうが!」
「そこ!?」


けれどやはり突っ込まずにはいられなかった。慌てて口を塞ぐも、2人は言い合いをしていて聞いていない。ほっと息をついた。


「どっちにしろ、3人で一緒に食べられないなぁ」


1人安全地帯でパピコをちまちま食べながら思わず笑った。すると横からそれを奪われた。


「!?」
「頂き!」
「星!?それ僕への誕生日プレゼントじゃなかったの!?」
「この世は弱肉強食だよ!」
「意味が分かんないんだけど!?」
「勝己、ハーゲンは出久が買うからパピコ返してあげなよ!」
「何か色々おかしいよ!!」
「返すも何ももうねぇわ」
「早!!」
「うるっせえデク!てめェはさっさとハーゲン買ってこいや!」


どんっと背中を蹴り飛ばされ、その勢いのままに緑谷は文句を言いながらコンビニへと戻っていった。
ぢゅーっとパピコを吸い、星はちらりと爆豪に視線を向ける。


「おい」
「んー?」
「…これ、デクに渡しとけ」
「自分で渡せばいいのに」
「うるせぇクソが」
「はいはい」


星にお金を渡し、爆豪はそのまま先に行ってしまう。手渡された金額はこれから緑谷が買ってくるであろうアイスの金額で。パピコを咥えたまま星はくすくすと笑った。緑谷が戻ってきたら、このお金とちゃんと用意したプレゼントを渡そうと目を細めて。


end
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出久誕生日おめでとう!!雑な祝い方になっちゃったけど幼馴染らしさが出てたらいいな!
パピコ半分ネタ書きたい!から生まれてどうせならと誕生日ネタにした突発!出久大好きだ!おめでとう!

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