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 一緒に笑っていられる

シブヤの乱数くん宅。
いつも通り二人でベッドに寝転んで
ハグしてごろごろと過ごしていた。

「そういえば恭、
今日はなんの日か覚えてる?」
不意に投げかけられた疑問に、
ぴたりと動きを止めて乱数くんを見つめる。
息もかかりそうな至近距離で
大きな目と視線が合った。

「今日は、僕と乱数くんの
1年記念日?」
「あははっあったりー!
流石恭、覚えてたんだ〜!」
嬉しそうに笑いながら
ぎゅ〜!!っと抱きしめてくれる。

のは嬉しいんだけど、あの、
乱数くんの腕力はすさまじいもので
僕はちょっと苦しくなって
ギブギブと軽く彼の腕を叩く。

「あっごめ〜ん!
嬉しくてつい力が入っちゃった」
「ううん いいよ
僕も嬉しかったから」

おでこをくっつき合わせて
お互いに笑い合う。

「なんだか不思議だなぁ
1年経った実感もあんまりないし
2年経ってもこうやって
イチャついてる気がする、」
「ほ〜んとあっという間だったよね〜?
2年目は―――、」

と言いかけた所で、
乱数くんが僕から離れて
起き上がった。

?どうしたんだろう、
不思議に思いながら見つめていると
僕を見下ろした彼が 妖艶に笑ってみせた。
ドキリとしたのもつかの間
乱数くんは僕の上に跨って、
顔の横に腕をつく。

壁ドンならぬ、ベッドドンというか…?
っていうか!あ、あの
いつもの可愛い表情と違ってみえて
すっごくドキドキする!!

「ら、乱数くん?どうしたの?」
「んー?
2年目はさ こーゆーのも
悪くないかなぁって思って」

にっこり笑ったかと思えば
僕のお腹の上を手が這って、
ひっ と声があがる。

…恥ずかしい、話
付き合ってから1年になるものの
僕たちは゛そーいう事゛をまだ
シたことがなかった。

「…乱数くんとだったら…いいよ…?」
ドキドキしながら返すと
ゆっくりと彼の顔が近付いて来て
思わずぎゅっと目を閉じた。

「ははっ 恭ってば
緊張してる〜?」
「す、するに決まってるよ…っ!
すごく ドキドキしてる…」
えっちどころか、ちゅーすらまともに
したこと無いんだもん

目を閉じたままじっとしていると
「可愛い」と声が聞こえて
唇に柔らかな感触が触れる。
ちゅーしてるんだって そう思うと
余計にドキドキしてたまらなかった。

「恭」

呼ばれてゆっくり目を開けると
再び唇が触れ合って 顔が熱くなる。
「ら、らむだくんっ
ちょっと面白がってるでしょ…!?」
「そーんなことないよ?」
「嘘、顔が笑ってる!!」
「あはっ恭も笑ってるじゃん」

わちゃわちゃ
今までと変わりない 穏やかで
愛しい時間が流れていく。

…何年経っても こうやって
乱数くんと ずっと一緒に笑っていられますように。
なんて こっそりお願いしてみたりして。

「乱数くん」
「なーに?恭」
「好きだよ」

そう呟いて 初めて自分からしたキスは
緊張でおかしくなりそうなくらいの
とびきり火照った想い出になった。

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