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 &Thank youE

ケーキを眺めていると、
色とりどりのロウソクが差し込まれて
一郎さんが火をつけてくれている。
「兄ちゃん そろそろ電気消すね」
「おう 頼むわ」

ぱちっ

じろくんが電気を消すと、
リビングはロウソクの暖かい光だけで
ともされて、少しだけ不思議な気持ちだ。

(懐かしい、な この感覚。
家族にお祝いしてもらえるのって
すごくあったかい)

しみじみしていると、向かいに立っている
一郎さんに「さ、」と催促をされる。
火、消してってことだよね。
なんだか久しぶりで緊張しちゃう…

ドキドキしながらおっきく息をすって
ふぅ、と吹きかけた。
13の明かりがぐらりと揺れる。

「お」
「お?」
「あぁ」

「あぁって言わないでよさぶくん…」


僕の消せたロウソクの数はというと―――


「見事に13本そのまんまなんだけど?
あぁって言いたくもなるだろ」
「やめてよ気にしてるんだから…!!」

そう。何故か1本も消えなかった。
ちょっと、いや 大分悲しいし恥ずかしい。
揺れたのになんで…?

しょんぼりしながら相変わらず
ともり続けている火をみていると、
隣からポン、と肩を叩かれる。じろくんだ。

「もっかいやってみろよ。
お前が消さねーと先に進めねぇだろ?」
「うん。がんばってみる」

すぅ、と再び息を吸って
大きく吐き出す。

「ふうっっ!!!」

どうだ!!
ってくらい気合を入れて吐き出すと
さっきと同じく 火は大きく揺れて、
そして――――

「お?
「おお?」
「…あ」
「消えた!!!」

やった!!とバンザイするのもつかの間
部屋は途端に真っ暗になって
じろくんがすぐに電気をつけにゆく気配がする。

ぱちっ

「火、消えたよ!!」
みたみた!?とさぶくんの顔をみると
すごく嫌そうな顔をされてしまう。
「うるさい。何でそんな嬉しそうなんだよ」
「だって初め1本も消えなかったんだよ…!?」
「1本も消えない方が逆にすごいよ」
「さぶくん辛辣」

言いながらお互いに笑い合って、
個々に自分の席へつく。

「あー、改めて誕生日おめでとう
恭。ちょっとグダグダしちまったが
気持ち入れ替えてぱーっと食っちまおうぜ」
ニカッと笑う一郎さんにつられて
全員の頬が緩むのがわかった。
空気がすっごく穏やかであったかいんだ。ふふ。



「「「「いただきまーす!!!!」」」」


手を合わせて揃った声は
いつも通り明るく部屋に響き渡った。

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