long | ナノ


▼ 363

昨日は゛お留守番゛というのを
しっかりとやった僕。
今日も゛お留守番゛らしい。
そして左馬刻さんとのお約束ができた。

「知らねぇ奴がきても出ない事」
「知らない人?」
「そうだ。チャイムが鳴っても――
ってお前チャイムは、」
「なんとなくわかるよ。
施設にも似た様なのあったもん。
ぴんぽんって押すと、顔が映るやつ」
「そうか。とりあえず
鳴っても何も触るな。出るな。いいな」
「はーい」
「後は 何かあったらこれだ」

そういって左馬刻さんが指差したのは
白くてちっちゃな機械だった。
「?これは?」
「電話。これをあげて
この短縮ボタンと2を押す。
そしたら俺様にすぐ連絡がつく。わかったか?」
「んー?わからないけどわかったよ」
「おいこら適当言ってんじゃねぇ」

いいか、とまた説明が始まった。
機械、は使ったことが無い。
僕が使うことがあるんだと少し
不思議に思うくらいだった。

゛お前は研究対象でしか無いんだ゛

遠い昔に言われた言葉が頭を過る。

゛何も知らなくていい
何も感じなくていい。
だってお前は――――゛

「――オイ聞いてんのか?」
頭をがし、と掴まれて
目の前にこわい顔をした赤い目が迫って来る。
近い距離でぱちりとあった目が
綺麗だな、とおもった。

「お話は聞いてなかったけど、」
「正直すぎんだろ」
「左馬刻さんの目は綺麗だね」
「?なんだ急に」
「なんとなく思っただけだよ」

白い髪に まっかなおめめ。
いつか図鑑でみた兎さんみたいだと思った。

「ねぇねぇ左馬刻さん
電話は2以外押したらどうなるの?」
「知るかよ。
知らねぇ奴につながるんじゃねぇのか」
「押していい?」
「ダメだ」
「えい、」
「ダメつってるだろうが!!」

prev / next

[ back to top ]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -