「ロシアではね、-40度になると休校になるんだよ」
紅茶を魔法瓶で飲んでる彼を横目で盗み見、そうなんですか、と淡白な返事を返す。特に気にした様子もなく「まぁ大学は関係ないんだけどね」と続ける彼にでしょうね、と思いながら同じように紅茶を飲む。ジャムに紅茶は不思議な体験ですが慣れてしまえば悪くはないですね、と会話したのは5分ほど前のことだ。
「今日の気温は-32度。休校にはならないね」
「……大学は休みにならないのでしょう」
「あれ、聞いてたんだ」
心外です、という顔をすればにこにこするのだから、まったく。聞いてないふりはやめられません。